Research Highlights

超分子化学:多金属集合体を作る

Nature Nanotechnology 2013, 913 doi: 10.1038/nnano.2013.186

特定のタスクを実行できる大きな分子を作るには、空間的に制御された方法でより小さな分子ブロックの集合を誘導する必要がある。特に、複数の金属中心を超分子集合体に組み込めれば、磁気的性質や酸化還元的性質、触媒機能を持つ巨大分子を作ることができる。マンチェスター大学(英国)、ネール研究所(フランス)、ローレンス・バークレー国立研究所(米国)のR Winpennyたちは今回、多金属集合体を作る概念的には単純だが強力な方法を開発している。

Winpennyたちは、八角形に配置された7つのクロム原子と1つのニッケル原子を含む環の形をした化合物を出発点とした。ニッケル原子はルイス塩基に結合しており、ルイス塩基を用いて酸と塩基の一般的な配位化学で、金属中心を8つ持つ環を他のさまざまな化合物と結合させることができる。ルイス酸については、ルイス塩基によって容易に置換されて新たな共有結合を形成できる不安定基(典型的な例は水やテトラヒドロフラン)を含む化合物を、Winpennyたちは選んだ。

3つの例を用いて、この方法の普遍性が明らかにされた。最初に、不安定基と結合したマンガン原子3つを含む金属中心を3つ持つ環を、金属中心を8つ持つ環の等価体3つと反応させて、金属中心を27個持つ多金属化合物を作った。次に、二重四面体の金属中心を6つ持つ環を、金属中心を8つ持つ環の等価体4つと反応させて、4種類の金属を含む金属中心を38個持つ集合体を作った。最後に、金属中心を12個持つ六角形の環と金属中心を8つ持つ環の等価体6つから、金属中心を60個持つ化合物が合成された。

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