Research Highlights

電子顕微鏡法:限界を決める要因

Nature Nanotechnology 2013, 913 doi: 10.1038/nnano.2013.185

最初の収差補正透過型電子顕微鏡は1998年に作られ、約0.13 nmの分解能が得られた。その後、電子光学の進歩によって、約0.05 nmの分解能が可能な電子顕微鏡が開発された。Corrected Electron Optical Systems GmbH(ドイツ)のS Uhlemannたちは今回、こうした電子顕微鏡の分解能は、電子顕微鏡の金属部品に生じた熱駆動電流による磁場雑音によって制限されることを示している。

Uhlemannたちは、電子顕微鏡から収差補正装置を取り外して、液体窒素で冷却できる円筒と手製の(ステンレス鋼とパーマロイの)金属管に取り替えた。次に、カーボン担体上のアモルファスタングステン薄膜の画像のディフラクトグラムを比較して、電子顕微鏡の分解能が、温度と金属管の材料によってどのように変化するか調べた。その結果、分解能が低温になると向上し、金属管の材料に依存することがわかった。これは、熱的な磁場雑音が存在することと一致する。

この雑音によって、電子顕微鏡の電子ビームに確率的な偏向が生じる。Uhlemannたちは、これが最新の電子顕微鏡の分解能を約0.05 nmに制限していると示唆している。

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