Research Highlights

ナノダイヤモンド:細胞の温度測定

Nature Nanotechnology 2013, 913 doi: 10.1038/nnano.2013.184

細胞内部の微小な温度揺らぎの測定を可能にするには極めて小さな温度計が必要であり、最新の局所温度計測法では、要求される感度の実現に苦闘している。ハーバード大学(米国)と香港城市大学(中国)のH ParkとM Lukinたちは今回、窒素不純物を含むナノダイヤモンドを用いて、200 nm程度の距離にわたって、1.8 mK程度の温度変化を検出できるナノスケールの温度計を作った。

ナノダイヤモンドの炭素原子を窒素原子で置換することで、空孔が作られる。この空孔の基底状態と励起状態の間の電子の遷移周波数は、温度に依存する。ParkとLukinたちは、蛍光顕微鏡法を用いて遷移周波数を光学的に検出し、このシグナルと定量的な温度変化を相関させることができた。ナノダイヤモンドは優れた熱伝導体なので、記録された温度は、ナノダイヤモンドの隣接周辺部と同じになるはずである。

温度を測定し制御するこの方法の可能性を実証するため、金ナノ粒子とともにナノダイヤモンドを、ヒト胚線維芽細胞に挿入した。レーザー光を用いて金ナノ粒子を励起して、局所熱源として働くようにし、細胞内部の温度を変化させた。この温度変化を、ナノダイヤモンドを用いて測定できた。ParkとLukinたちは次に、レーザー光をさらに強くして、細胞を壊すのに必要な温度上昇を測定した。

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