Research Highlights

磁性ナノ構造体:オンデマンドでスカーミオンを作る

Nature Nanotechnology 2013, 913 doi: 10.1038/nnano.2013.183

磁気スカーミオンは、旋回する磁化配置を持つスピンナノ構造体である。この配置はトポロジカルに保護されているため、スカーミオンは生成するのが難しい安定した構造体である。こうしたナノ構造体は、将来のスピントロニクスデバイスの情報担体として提案されているが、そのような応用では、ナノ構造化磁性薄膜において個々のスカーミオンの生成と消滅を制御できる必要があるだろう。ハンブルク大学(ドイツ)のK von BergmannとA Kubetzkaたちは今回、走査型トンネル顕微鏡を用いて、単一スカーミオンを生成し破壊できることを示している。

BergmannとKubetzkaたちは、Ir基板上の極めて薄いPdFe二重層において単一スカーミオンを操作した。つまり、磁場を印加した温度4.2 Kの強磁性状態を出発点として、走査型トンネル顕微鏡のティップからのスピン偏極電流を用いて、直径数ナノメートルの単一スカーミオン構造体を局所的に書いたり消したりした。スカーミオンは、ティップの近傍に生成され、優先的に欠陥サイトで生成された。スカーミオンと強磁性状態の間のスイッチング機構は、高エネルギートンネル電子の注入に起因すると考えられ、スイッチング速度は電子のエネルギーで決まる。さらに、スピン移動トルクがスイッチングパラメーターに影響を及ぼすこともわかった。

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