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大物は急がない

Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2014.140206a

巨大恐竜は体が壊れないよう、一歩ずつゆっくりと歩いていたようだ

南米の恐竜アルゼンチノサウルス・フインクレンシス(Argentinosaurus huinculensis)は動き回るのが難儀だったに違いない。それどころか、体重約90tのこの生き物は、単に立っていることさえ難しかったろう。この巨大恐竜が絶滅した後、巨大な足跡とともに大きな疑問が残った。アルゼンチノサウルスはその重い体をどうやって動かしていたのだろうか?

「この恐竜は動物の体重の上限に当たります」とマンチェスター大学(英国)の生物学者Bill Sellersは言う。アルゼンチノサウルスはかつて存在した恐竜の中で最も重いと言えよう。動物は大型化するにつれ、体重の増加に筋肉と骨の成長が追いつかなくなる傾向がある。アルゼンチノサウルスの場合、その巨大な脚で勢いよく歩いたら骨折した可能性もある。

時速7~8kmで上品に

Sellersらはスーパーコンピューターを用いたシミュレーションによって、アルゼンチノサウルスの歩き方を探っている。彼らはアルゼンチノサウルスの骨格をレーザースキャンして3次元モデルを作った。このモデルは、関節がどこまで曲がるか、4本の脚をどの順序で踏み出していたかなど、57のパラメーターを含んでいる。

研究チームは、スーパーコンピューターでそれらのパラメーターを変えながら計算し、最も少ないエネルギー消費で済む歩き方を突き止めた。時速7~8kmで上品に歩くのが最適だという結果が得られたのだ。この結果は2013年10月にPLOS Oneに報告された。アルゼンチノサウルスは動きを関節に無理がかからない範囲にとどめることによって、巨体がもたらす落とし穴にはまるのを避けていたのだろう。

この予測は他の証拠とも整合する。例えばシミュレーションから得られた足跡の配置は、実際の足跡化石のパターンとよく似ている。そして、このシミュレーションで得られた結果は「化石骨の形を調べた他の研究の結論とも矛盾がありません」と、ストックトン大学(米国カリフォルニア州)の古生物学者Matt Bonnanは言う。

今後のシミュレーションでは軟骨も考慮するべきだとBonnan。軟骨は化石には残っていないが、鳥やトカゲなど恐竜に近い現代の近縁種で調べることはできる。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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