Nature Research
注目の最新論文
 
Research Picksでは、近年創刊したネイチャー・ポートフォリオの出版誌に出版された最新の論文の中から、世界的に話題となった論文や日本からの論文をご紹介します。毎号、掲載されるジャーナルは様々です。
 
 
Naure Food 日本語サイト
 
© Yuichiro Chino / Moment / Getty
 
Article | 19 March 2021
ネットワーク医学の枠組みはポリフェノールの標的と疾患タンパク質の近接性からポリフェノールの治療効果が予測されることを明らかにする
今回、ポリフェノールの標的タンパク質と疾患関連タンパク質間の分子相互作用が、ネットワーク医学の枠組みによって調べられた。ポリフェノールの標的タンパク質と疾患タンパク質のネットワーク近接性から治療効果を予測することが可能であり、栄養科学のツールとしてのネットワーク医学の可能性がより幅広く明らかになった。
 
 
Article | 19 March 2021
1970~2010年の世界的な食の収斂は農業、栄養および健康での不平等を変化させた
今回、公開データを利用して各国のフードシステムの不平等が検証された。自然資源の投入、食料/栄養生産、栄養/健康指標の変化から、不平等は一般的に減少しているが、変数によって減少の仕方が非常に異なることが明らかになった。
 
 
Nature Computational Science 日本語サイト
 
 
Article | 25 March 2021
超解像顕微鏡法のための最適輸送による共局在化
誘導放出抑制(Stimulated Emission Depletion:STED) 顕微鏡法は、回折限界を超える解像度での撮像を可能にする。ここでは、高解像度STED画像における高分子の分布を解析するための最適輸送共局在化を提案する。
 
Review Article | 15 March 2021
機械学習による細胞の不均一性と遺伝子調節の解読
膨大なデータセットが利用可能になったことで、遺伝子調節やエピジェネティックな機構による制御を体系的に研究することが可能になった。本Reviewでは、こうしたデータセットから効果的に知識を抽出するために用いられる最新の計算手法を紹介し、検討する。
 
 
Nature Aging 日本語サイト
 
 
Article | 15 March 2021
髄鞘再生能力の加齢依存的な低下はアペリン–APJシグナル伝達を介して起こる
伊藤益美(国立精神・神経医療研究センター)たちは今回、アペリン受容体APJの発現低下により、老化した脳での再生が損なわれることを示している。循環血中のアペリンは、APJを介してオリゴデンドロサイトにシグナルを伝達して髄鞘再生を手助けしており、APJアゴニストを用いて老齢マウスでこの経路を回復させることができる。
 
Review Article | 15 March 2021
健康な老化と血液脳関門
この総説では、血液と中枢神経系の間の相互作用を制御する調節性境界面である血液脳関門が、正常な加齢の間にどのように変化するのかを取り上げ、これらの変化の一部が、加齢関連疾患の素因となり得る仕組みについて考察する。
 
 
Nature Cancer 日本語サイト
 
 
Article | 24 March 2021
組織常在型と循環血中の記憶T細胞は、免疫療法に対して持続的奏効を示す黒色腫患者で数年にわたり持続している
Turkたちは、黒色腫でのチェックポイント阻害に対して例外的な奏効を示した患者を解析し、治療から最長9年たっても、皮膚の組織常在型記憶T細胞と血中のエフェクター記憶T細胞のクロノタイプが検出されることを報告している。
 
Nature Communications 日本語サイト
 
 
Article | 02 March 2021 | Open Access
X線マイクロトモグラフィーで画像化した封書の自動仮想展開により歴史を紐解く
著者らは今回、レターロッキングという方法で複雑に折り畳まれた手紙をボリューメトリックスキャンしたデータを再構成し、仮想的に展開することにより、レターロッキングの証拠を保存しつつ、手紙の内容を読み取ることのできる画像や折り目のパターンの画像を生成できる、完全に自動化された計算手法を提案する。
 
 
 
Article | 16 March 2021 | Open Access
初期地球で原始的な亜リン酸の還元を促進させた落雷
地球の生命の起源を決定することは、初期生命の形を生成するために必要な栄養素の供給源が謎であるという事実により混乱している。本論文では、著者らは落雷が初期地球で重要な亜リン酸の主要な供給源となりえたことを示している。
 
 
Communications Materials 日本語サイト
 
 
Article | 05 March 2021 | Open Access
光起電人工網膜は失明網膜におけるシングルピクセル刺激に対する高分解能応答を回復させる
人工網膜が直面している大きな課題は、広い視野にわたって神経細胞を活性化できることである。本論文では、10,000個以上のピクセルを持つ光起電人工網膜上膜が、広い網膜カバー範囲とシングルピクセル照明を示し、マウスモデルにおいて高空間分解能の識別が可能になっている。
 
 
Article | 05 March 2021 | Open Access
オペランド電子スピン共鳴によって識別されたMoS2薄膜トランジスターにおけるスピン状態
スピン状態の特性を特定することは、見込まれるMoS2薄膜トランジスターの磁気的応用の理解に不可欠である。本論文では、電子スピン共鳴を用いて、デバイス動作中に、MoS2における伝導電子と原子空孔のスピン状態が識別され、調べられている。
 
 
Communications Earth and Environment 日本語サイト
 
 
Article | 05 March 2021 | Open Access
冬季にアザラシに搭載された観測が明らかにしたアムンゼン海南東部の氷河融解水の浮上
冬季のアムンゼン海で、層と水柱が連結した極めて変化に富んだ融解水の分布が見つかり、これによりこの地域の開氷域が維持されている可能性があるとアザラシにより得られた水文学的データが示している。
 
 
Article | 19 March 2021 | Open Access
巨大地震前後のプレート境界断層に沿った非地震学的滑り速度の進化
巨大地震の直後すぐに増加し、それから急速に減少する非地震学的滑り速度は、次の地震に向けて再び徐々に増加すると、日本の密な地震観測網を用いて全球の地震観測を行った結果が示している。
 
 
Communications Chemistry 日本語サイト
 
 
Article | 10 March 2021 | Open Access
ピラジナセンは表面上で酸化状態依存性のコンフォメーション挙動と自己集合挙動を示す
アセンは、特徴的な電子的・光学的特性を示す有望な有機材料種である。本論文では、デカアザペンタセンとオクタアザテトラセンが合成され、異なる酸化状態におけるそれらの自己集合挙動の解析が行われている。
 
 
Article | 17 March 2021 | Open Access
Ni 硫化物上における地球電気化学的CO2固定によるチオエステル合成
チオエステルは、原始代謝における主要中間体であると示唆されることが多いが、チオエステルへの前生物的CO2固定経路はまだよくわかっていない。本論文では、硫化ニッケルが、現実的な地球電位によって部分的にNi(0)に還元され、CO2からCOへの電気的還元とそれに続くCOとメタンチオールの反応を経てチオエステル(S-メチルチオアセテート)形成を促進することが示されている。