Nature Portfolio
 
2020年創刊Nature Cancer、2021年1月創刊Nature Agingの最新研究論文、総説をまとめて毎月1回配信いたします。創刊号以降の論文サマリーは、各誌日本語サイト(Nature CancerNature Aging)にアーカイブしています。
オリジナル論文は、nature.comの各誌サイトでご覧ください。
なお、本誌は、従来の購読形式、またはOpen Accessでご自身の論文を出版することが可能です。詳しくは本誌サイト(Nature CancerNature Aging) をご覧ください。ご投稿をお待ちいたしております。
 
Nature Cancer
 
Nature Cancer
2021年3月号
進展するがん治療
Nature Cancer では、今号より、がん治療シリーズと題した連載を開始する。このシリーズでは、がん治療における新たな概念や最近の進展、今後の課題を取り上げたReviewとPerspectiveの委託論文に加えて、Nature Cancer にこれまでに掲載された原著論文からこのテーマに関連するえりすぐりのものを掲載する。
See our March Editorial, as well as the Review articles by Esposito et al. and by Mukhopadhyay et al.
Image: Alamy. Cover Design: Allen Beattie.
 
Review Article | 24 March 2021
転移性がん治療の新たな戦略
この総説でKangたちは、転移性がんの治療法開発における最近の進展と課題に加えて、転移性疾患に対する進行中と完了した試験の臨床的意義ついて論じている。
 
 
Review Article | 24 March 2021
RAS誘導性がんの代謝全体像に関する生物学的特性から治療まで
Mukhopadhyay、Vander HeidenおよびMcCormickは、RAS誘導性がんの代謝的全体像、RAS指向性の代謝再プログラム化の効果、および、これらのがんを標的とする治療機会について概説する。
 
 
Article | 21 January 2021
ネットワークに基づくシステム薬理学から明らかになった、LCKとBCL2シグナル伝達における不均一性とT細胞急性リンパ芽球性白血病の治療感受性
Yangたちは、ネットワークシステム薬理学的手法と臨床データ統合を行い、LCK とBCL2シグナル伝達が、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の小児患者と成人患者におけるダサチニブ奏効性の分子的決定要因であることを明らかにした。
 
 
Article | 24 March 2021
組織常在型と循環血中の記憶T細胞は、免疫療法に対して持続的奏効を示す黒色腫患者で数年にわたり持続している
Turkたちは、黒色腫でのチェックポイント阻害に対して例外的な奏効を示した患者を解析し、治療から最長9年たっても、皮膚の組織常在型記憶T細胞と血中のエフェクター記憶T細胞のクロノタイプが検出されることを報告している。
 
 
Article | 11 February 2021
Aurora-A阻害とATRキナーゼ阻害の併用はMYCN増幅型の神経芽細胞腫の退縮を引き起こす
Eilersたちは、Aurora-AがMYCN誘導型神経芽細胞腫で転写と複製の競合を抑制しており、これはAurora-A阻害剤とATRキナーゼ阻害剤の併用による標的化が可能な脆弱性であることを報告する。
 
 
Article | 11 March 2021
骨髄のNG2+/Nestin+間葉系幹細胞はTGF-β2を介して播種性腫瘍細胞の休眠を促す
Aguirre-Ghisoたちは、骨髄常在型の間葉系幹細胞は、TGF-βファミリーの因子を介してがんの休眠を促すことを報告している。
 
 
Article | 18 March 2021
XIAPとBCL2の併用阻害は、遺伝的に多様な高悪性度の急性骨髄性白血病において最大の治療効果を促す
石川文彦(理化学研究所)たちは今回、広範なPDXモデル化と組み合わせたゲノムと薬剤感受性の統合的スクリーニングを行い、XIAPとBCL2に対する併用阻害が、急性骨髄性白血病(AML)の遺伝的変化全体にわたる脆弱性のハブであることを示す。
Mari Hashimoto, Yoriko Saito & Fumihiko Ishikawa
 
 
Article | 15 February 2021
MSK-IMPACTを用いたがん種横断的な生殖系列の前向き試験から得られた、751人の小児固形腫瘍患者における臨床トランスレーションに関する情報
Walshたちは、固形腫瘍の小児患者の大規模コホートで前向き塩基配列解読を用いて、がんの素因遺伝子で変異を検出し、下流の臨床ケアを導き出した。
 
Nature Aging
 
Nature Aging
2021年3月号
パーキンソン病における低分子ノンコーディングRNAの調節異常
今月号では、パーキンソン進行マーカーイニシアチブの主導による研究から、パーキンソン患者の循環血中の低分子ノンコーディングRNA(sncRNA)に関する縦断的プロファイリングが報告される。この研究によって、診断や予後のバイオマーカーとなり得る複数のマイクロRNAが特定された。表紙は、パーキンソン病の進行に伴い、手が震えてsncRNA構造を上手く描けなくなっていく様子を表現している。下の方にはパーキンソン病でsncRNA調節異常と関連するいくつかの血球タイプも見える。
See Kern et al. and the accompanying News & Views by Rosenthal et al.
Image: Dr. Valentina Galata, University of Luxembourg, 2021. Cover design: Lauren Heslop.
 
Review Article | 15 March 2021
健康な老化と血液脳関門
この総説では、血液と中枢神経系の間の相互作用を制御する調節性境界面である血液脳関門が、正常な加齢の間にどのように変化するのかを取り上げ、これらの変化の一部が、加齢関連疾患の素因となり得る仕組みについて考察する。
 
Article | 15 March 2021
食物量に対する嗅覚は、脳から腸への信号を介して食餌制限による長寿命を調節する
著者たちは、線虫の一種(Caenorhabditis elegans)において、食物量に対する嗅覚が食事制限による長寿命への影響を調節することを見出した。食物の匂いは、オクトパミンを介して腸にシグナルを送る嗅覚回路を活性化し、食餌制限によって誘導される長寿命を抑制することが明らかになった。
 
 
Article | 15 March 2021
短い機能不全のテロメアは腎繊維症を発症しやすくする
この研究は、テロメアの短縮と機能不全によって腎臓で繊維症が起こりやすくなり、2つの腎繊維症マウスモデルで上皮間葉転換に関連した遺伝的プログラムが亢進されることを示している。
 
Article | 15 March 2021
髄鞘再生能力の加齢依存的な低下はアペリン–APJシグナル伝達を介して起こる
伊藤益美(国立精神・神経医療研究センター)たちは今回、アペリン受容体APJの発現低下により、老化した脳での再生が損なわれることを示している。循環血中のアペリンは、APJを介してオリゴデンドロサイトにシグナルを伝達して髄鞘再生を手助けしており、APJアゴニストを用いて老齢マウスでこの経路を回復させることができる。
Masumi Ito, Rieko Muramatsu & Toshihide Yamashita
 
 
Article | 15 March 2021
同年代の中年成人の間で見られる生物学的な加齢のペースの違いは、将来的なフレイルのリスクや指針に影響を及ぼす
加齢に関連した多臓器系の衰えを20年間にわたり追跡したコホート研究から、老化の最も早いグループでは、中年期にはすでに認知機能低下、脳の老化の兆候、感覚運動機能の低下が見られ、加齢を後ろ向きに捉えていることが分かった。
 
Resource | 15 March 2021
sncRNAの高深度塩基配列解読から明らかになった、パーキンソン病の進行におけるトランスクリプトームの特徴と調節モジュール
著者たちは、パーキンソン病(PD)の2つの縦断的コホートを特徴づける低分子ノンコーディングRNAアトラスを報告している。この研究から、疾患検出のためのバイオマーカー候補や、これらとPDの分子的特徴との関連性、疾患の進行に関する調節性モジュールが明らかになった。
 
 
 
Nature Cancer コレクション「がん治療シリーズ
近年、がん治療は著しい進歩を遂げているが、がんは依然として主要な健康問題であり、患者の転帰や生活の質を改善するためには、さらなる発見と革新が必要とされる。Nature Cancer では、がん治療の新たな概念や新規治療法、前臨床の知見を臨床的利益に橋渡しする上での課題について取り上げたReviewとPerspectiveの委託論文シリーズに加え、これまでにNature Cancer に掲載された、関連する一次研究論文やNews記事、Comment記事もまとめて掲載する。
 
 
 
 
Nature Cancer、Nature Aging 出版オプション:2つの出版ルート
2021年1月より、著者は、ご自身の研究論文を、既存の従来ルート、またはオープンアクセス のいずれかのルートで出版することが可能となりました。 ぜひ皆様の研究成果をご投稿ください。
Nature Cancer 投稿について | Nature Aging 投稿について | オープンアクセス出版のメリット