Research Press Release

【動物学】周期ゼミの交雑を示す遺伝学的証拠

Communications Biology

2018年4月20日

13年ゼミと17年ゼミとの交雑を示す遺伝学的証拠について報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、意外なものと言える。13年ゼミと17年ゼミは極めて近縁な関係にあるが、両者の遭遇はまれにしか起こらないからだ。

周期ゼミは、幼虫として生涯の大半を地中で過ごし、樹木の根から樹液を吸っている。13年間あるいは17年間の地中での生活の後、それぞれのブルード(同じ周期で同時発生する周期ゼミのグループ)のセミが同時に発生し、最終的に脱皮して成虫になる。そして、生涯の最後の日々(1か月足らず)は繁殖に力を注ぐ。周期ゼミは、3種群7種に分類され、それぞれの種群は、17年ゼミ1種と13年ゼミ1種または2種から構成されている。13年ゼミと17年ゼミの同じ種が同時に発生するのは、わずかな例外はあるものの、221年に一度となっている。また、13年ゼミと17年ゼミの地理的分布に有意な重複は見られない。

今回、京都大学大学院理学研究科の曽田貞滋(そた・ていじ)たちの研究グループは、7種の周期ゼミのRNA塩基配列を解読し、それらの相互関係の解明を進めた。その結果、意外なことに、周期ゼミのそれぞれの種群において、17年ゼミ種とそれに最も近縁な13年ゼミ種との間に交雑があったことを示す証拠が見つかった。こうした交雑があったものの、それぞれの種に特有の生活史は、最長20万年にわたって維持されている。これに対して、曽田たちは、この平行分岐の遺伝学的説明を明確に示すことができなかった。今後、進化の過程でこうしたさまざまな生活史が維持される仕組みの解明を進めるには、これらの周期ゼミ種のゲノム全体について塩基配列解読を行うことが必要になっている。

doi:10.1038/s42003-018-0025-7

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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