Letter

ディック限界を超える光格子時計の周波数比較

Nature Photonics 5, 5 doi: 10.1038/nphoton.2011.34

原子時計の非常に優れた正確さは、原子遷移周波数の普遍性に依存している。一方、時計の安定度は、どれほど迅速に時計の統計的不確かさが減少するかを測るものである。最終的な安定度は、量子射影ノイズによって決まり、N個の無相関原子を測定することによって、1/√Nに向上する。量子射影ノイズによって制限される安定度は、セシウム時計や単一イオン光時計で実証されており、量子ノイズが、局所発振器ノイズに起因するディック効果を上回っている。今回我々は、それぞれ87Srと88Sr原子を用いた2つの光格子時計の周波数の同時比較について示す。ディック効果を打ち消して量子射影ノイズ限界に近づけることによって、平均化時間1,600 sでアラン標準偏差が1×10-17に達した。この方式は、光時計に多数(N≈1,000)の原子を用いる利点を実証しており、数十分の時間スケールで時計や相対論的測地学に固有の不確かさを研究する道を開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度