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自発的に形成されたバックリング構造による有機発光ダイオードからの光取り出しの向上

Nature Photonics 4, 4 doi: 10.1038/nphoton.2010.7

<p>従来の有機発光ダイオードでは、光のほとんどが高屈折率層(有機媒質、インジウムスズ酸化物やガラス基板など)に閉じ込められるため、光取り出し効率が20%程度と低くなっている。多くの研究では、波長スケールの周期的回折格子を利用して、有機発光ダイオードの外部効率を向上させている。しかし、その効率はブラッグ条件を満たす特定の波長でしか向上しない。今回我々は、大きな分布をもち方向がランダムな準周期的バックリング構造(しわ状の凹凸がある構造)によって、スペクトル変化や指向性を生じさせずに、光取り出し効率を向上できることを実証した。バックリングによって波形になった有機発光ダイオードでは、電流効率と電力効率が向上し、可視波長領域全体でエレクトロルミネッセンス・スペクトルが2倍以上増強されたことがわかった。このバックリングパターンは、金属薄膜の付いた弾性材料に自発的に形成されたものである。このバックリング構造の有機発光ダイオードデバイスは、フルカラー白色有機発光ダイオードの製造用に実用的かつ魅力的なデバイスとなる。</p>

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