In This Issue

X線ピンホールカメラ

Nature Photonics 2, 9 doi: 10.1038/JnphotonInThisIssue68318

ピンホールは、何世紀にもわたって画像化に利用されてきた。S Marchesiniらは、今回、このコンセプトをX線ホログラフィーに応用した。ピンホールは非常に単純なものであるが、画像化となると不便なトレードオフが生じる。つまり、高空間分解能を得るためにホールを小さくする必要があるが、ホールが小さいと通過する光量が制限されてしまう。この問題を回避する方法は、ホールの数を増やすことである。各ホールが画像をつくり、次にその画像がコンピューターで処理され、1枚の高分解能像が得られる。Marchesiniらは、このコンセプトをX線フーリエ変換ホログラフィーに応用し、バクテリアを画像化することによってその可能性を実証している。画像の明るさを損なわずに高分解能を実現するため最適なパターンに配列された162個のピンホール、いわゆるバイナリURA(uniformly redundant array)の隣に配置された窒化シリコン膜上に、Spiroplasmaの細胞が置かれた。波長13.5 nmの放射の15 fsパルスを用いて、150 nmの分解能を実現した。さらなる処理を施した後、分解能は75 nmまで向上した。現在さらに短い波長の光源が開発されていることを考えると、この研究は、高分解能分子ムービーの可能性が非常に現実味を帯びていることを示している。

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