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短波長紫外半導体レーザー

Nature Photonics 2, 9 doi: 10.1038/JnphotonInThisIssue68317

電気的に駆動される半導体レーザーダイオードは、非常に便利なレーザー光源である。しかし、その動作波長はまだ深紫外域に深く入り込んでいない。今回、吉田治正らが、これまで報告されたなかで最も短い342 nmの波長で動作するAlGaNレーザーダイオードについて報告している。今回の成果は重要である。なぜなら、生物医学、データ記憶、材料加工の分野に短波長UVレーザーを必要とする多くの用途があるからである。現在のブルーレイディスクに続く次世代光データ記憶システムは、短波長UVレーザーダイオードを必要とするかもしれない。加えて、マイクロチップ製造用半導体リソグラフィーも、UVレーザーを必要とする。さらに、生体系内の蛍光はUV光で励起されるのである。重要なのは、吉田らが開発したレーザーがインジウムを含まないことである。インジウムは、通常、UVレーザーダイオードの効率を向上させるために添加されるが、デバイス動作を長波長に制限する。今回の実証で、室温で動作する実用的な高効率インジウムフリーUVレーザーダイオードを作製できることが明らかである。そのデバイスは、パルス電流で駆動されるとミリワット域のパワーを放出する。

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