In This Issue

量子カッティング

Nature Photonics 2, 2 doi: 10.1038/JnphotonInThisIssue64587

シリコン太陽電池の性能向上は、明らかに重要な目標であり、将来のエネルギー生成に多くの恩恵をもたらす可能性がある。従来型太陽電池の効率がよくない理由の1つとして、単一の短波長・高エネルギー光子から単一の電子-正孔対しか発生せず、余分なエネルギーは不要な熱として失われることがあげられる。今回、ヨーロッパの科学者らは、量子カッティングと呼ばれる方式が役に立つ可能性があることを報告している。量子カッティング・プロセスでは、そのような高エネルギー光子は2個以上の低エネルギー光子に分裂し、それぞれが電子-正孔対を発生させることができる。今月号では、D Timmermanらが、エルビウムイオンおよび近隣のナノ結晶を用いてその効果を検出することによって、この技術をシリコンナノ結晶において初めて実験的に示している。理論的には、今回の方法を用いれば、従来型設計の性能を支配するShockley-Queisserの限界を超えて、太陽電池の効率を高めることができるであろう。

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