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水素型シリコンドナーにおけるTHz共鳴の巨大多光子吸収

Nature Photonics 12, 3 doi: 10.1038/s41566-018-0111-x

共鳴中間状態がないときの多光子吸収は、原子蒸気、色素、半導体においてよく知られた非線形過程である。半導体におけるドナーのN光子吸収(NPA)率は、真空中の水素型原子から誘電率とともに増大し、有効質量とともに減少し、それぞれの因数に指数6Nと4Nが含まれるため、極めて大きな増強が可能であることが示唆される。我々は、テラヘルツ自由電子レーザーを用いてSi:Pにおける1PA、2PA、3PAを観測した。4.25 THz での1s–2sの2PA係数は400,000,000 GM( = 4 × 10−42 cm4 s)であった。この値は、他の系で得られる値と比べて何桁も大きい。こうした大きな断面積によって、NPA断面積が1PA断面積を超える領域に入ることができる。つまりボーア半径の2乗当たりの結合エネルギーを不確定性時間で除した値(シリコンではわずか3.84 MW cm−2)に強度が達するときである。これによって、新しい種類のテラヘルツ量子制御が可能になる。

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