Letter

温度場における表面ダーク層の活性化によるアップコンバージョン増強

Nature Photonics 12, 3 doi: 10.1038/s41566-018-0108-5

温度の上昇に伴って発光に損失が生じる温度消光によって、照明用蛍光体や蛍光プローブなどの光学材料の高温での発光効率が概して制限される。一般的に温度消光は、無輻射緩和経路に影響を及ぼすフォノンの活性増大に起因する。今回我々は、ランタニドドープ・アップコンバージョンナノ材料の表面に存在して温度消光に対抗する、熱的に有利なフォノンの一種について報告する。この種のフォノンは、増感剤から活性化剤へのエネルギー移動に有利に働き、中間励起状態アップコンバージョン過程を増強する。我々は、Yb3+イオンをキレート化している酸素部分[Yb···O]が、この増強を支えるカギであることを見いだした。そして、9.7 nmのYb3+-Tm3+共ドープナノ粒子において、453 Kの温度で約2000倍の青色発光の増強が実証された。今回の手法は、微小アップコンバージョンナノ粒子のダーク層を明るくする強力な解決策をもたらすだけでなく、高効率アップコンバージョンシステムを構築する新しい手段も示すものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度