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単一電子領域におけるナノトンネリングのサブサイクル光位相制御

Nature Photonics 10, 10 doi: 10.1038/nphoton.2016.174

単一サイクル光パルスによって得られる高いピーク電場を利用して、固体系における電荷の運動を操作し制御でき、金属や半導体から電子を放出させたり、誘電体で高調波を生成したりすることができる。こうした過程には非摂動的な特徴があり、電場プロファイルの精密な再現性が必要になる。今回我々は、 pJレベルのエネルギーの6 fs長の近赤外パルスのキャリアエンベロープ位相を変化させて、ギャップが8 nmの横方向閉じ込めナノアンテナにおける電子輸送を制御している。その結果、50 MA cm-2のピーク電流密度が実現された。これは2 fsの半サイクル周期中に1個1個の電子が移動することに相当する。観測された挙動は、このナノ構造によって、サブサイクルの光バイアス下で生成され維持される極めて高い電場に起因する有効トンネル障壁の強いひずみによって可能になる。室温の標準大気中で行われた実験によって、最小のエネルギー含量の位相同期した光トランジェントによってゲート制御されるロバストなナノ電子スイッチが実証された。

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