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同期接続した光格子時計による重力ポテンシャル測定

Nature Photonics 10, 10 doi: 10.1038/nphoton.2016.159

アインシュタインの相対性理論によると、時間の経過は重力場の中で変化する。地球上では、時計を1 cm持ち上げると、その時計が刻む時間の見かけの速さが1018分の1.1だけ速くなるため、光時計の比較によって高精度時計を使った水準測量が可能になる。今回我々は、そうした重力ポテンシャル測定を、15 km離れたマスターとスレーブの時計の標高差を測定することによって、不確かさ5 cmで実証している。マスター時計レーザーの分数調波が通信ファイバーを通して送られ、離れた時計を同期して動作させている。こうした位相コヒーレンスの下で動作する時計によって、時計レーザー雑音が除去され、時計や干渉計を接続する提案が容易になる。半年間で11回の測定が行われ、2つの時計の微小周波数差が1,652.9(5.9)×10-18であると確定された。これは、水準測量と重力測定による独立した測定と矛盾しない。我々のシステムは、時計のインターネットのための基本構成要素を実証するものであり、動的応答を備えた高さ基準として機能する「量子水準点」になる可能性がある。

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