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がん治療/腸マイクロバイオーム:転移性腎細胞がんでのニボルマブ–イピリムマブ併用療法に対する生菌製剤の併用効果:無作為化第1相試験

Nature Medicine 28, 4 doi: 10.1038/s41591-022-01694-6

腸マイクロバイオームは、がん患者でのチェックポイント阻害剤(CPI)に対する応答に影響を及ぼすことが、これまでの研究で示唆されている。CBM588はビフィズス菌増殖促進性を持つ生菌製剤であり、我々は、CBM588は腸マイクロバイオームの調節作用を介して、CPI応答を増強させることができると考えた。今回の非盲検単一施設試験(NCT03829111)では、治療未経験の30人の転移性腎細胞がん患者(淡明細胞腎がんおよび/または肉腫様腎がんで、中程度または高度リスク群)を、ニボルマブとイピリムマブに加えて、CBM588を毎日経口投与する群と投与しない群に2:1に無作為化した。糞便メタゲノム解析は複数の時点で実施した。ベースラインと12週目のビフィズス菌(Bifidobacterium)属の相対的な存在量を比較する主要評価項目は評価基準を満たさず、ビフィズス菌属の相対存在量とシャノン指数では、ニボルマブ–イピリムマブへのCBM588併用に関連した有意な差が検出されなかった。副次評価項目には、奏効率、無増悪生存期間(PFS)、毒性を含めた。ニボルマブ–イピリムマブに加えてCBM588を投与した患者では、CBM588を投与しなかった患者と比べてPFSが有意に長かった(12.7か月対2.5か月、ハザード比0.15、95%信頼区間0.05~0.47、P = 0.001)。統計的有意差はないものの、CBM588投与患者では奏効率も高かった(58%対20%、P = 0.06)。毒性については試験群間で有意差は見られなかった。これらのデータは、CBM588がニボルマブ–イピリムマブ治療を受けた転移性腎細胞がん患者での臨床転帰を向上させることを示唆している。この臨床観察結果の確認とその作用機序、およびマイクロバイオームと免疫系への影響の解明には、より大規模な研究が必要である。

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