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COVID-19:感染性SARS-CoV-2 B.1.1.529オミクロンウイルスは治療用モノクローナル抗体による中和を回避する

Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-021-01678-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の伝播性の非常に高いB.1.1.529オミクロン変異株の出現によって、抗体による対策の有効性が懸念されるようになった。それは、オミクロン株ではスパイクタンパク質に多数の変異が見られるからである。本研究では、受容体結合ドメインに対する各種モノクローナル抗体(mAb)の感染性B.1.1.529オミクロン分離株に対する中和活性を検証した。これらのmAbは臨床で使用される抗体に対応しており、ウィル・バイオテクノロジー社のS309[VIR-7831(ソトロビマブ)の親mAb]、アストラゼネカ社のCOV2-2196とCOV2-2130(AZD8895とAZD1061の親mAb)、リジェネロン社のREGN10933とREGN10987、イーライリリー社のLY-CoV555とLY-CoV016、セルトリオン社のCT-P59である。複数のmAbはVero-TMPRSS2細胞とVero-hACE2-TMPRSS2細胞の両方でB.1.1.529ウイルスに対する中和活性を完全に失っていたが(LY-CoV555、LY-CoV016、REGN10933、REGN10987、CT-P59)、他のmAbでは12分の1程度までの低下(COV2-2196とCOV2-2130の組み合わせ)もしくは最小限の影響のみだった(S309)。我々の結果は、臨床で使用されている抗体の全てではないものの、そのうちの複数でB.1.1.529オミクロン変異株に対する有効性が失われている可能性を示唆している。

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