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COVID-19によって試されるアフリカの保健研究

Nature Medicine 26, 9 doi: 10.1038/s41591-020-1055-5

アフリカの保健研究状況は堅実に成長してきたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、この大陸での医学研究施設拡充や研究人材育成にどのように影響するだろうか。アフリカ各国、特に西アフリカ諸国は、エボラ出血熱の地域的流行の際に、感染症の予防・対策・監視の分野の能力を大きく高めた。COVID-19の流行に当たっては、例えばナイジェリアは重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のゲノムデータを4日足らずで公表している。コンゴ民主共和国やシエラレオネなどの国は、ウイルス検査や遺伝子塩基配列解読ができるようになっており、結果はCOVID-19に関する世界全体の情報プールに寄与している。また、エボラ検査の陽性者と接触した人を特定するために設けられた感染追跡システムも、COVID-19に対して適用されている。こうした国内の研究者により研究が進められる態勢と迅速な公衆衛生的施策という大きな変化は、エボラ出血熱の際の経験によって、COVID-19に対応できる人材や施設がある程度整っていたことによっている。COVID-19パンデミックが生み出した現在の特殊な状況は、アフリカにさらにロバストな研究基盤を作り出し、その発展にプラスに働く可能性がありそうだ。しかし、COVID-19研究に過度に注目が集まることを懸念する向きもある。「顧みられない熱帯病」の研究者の間には、研究予算がCOVID-19の方に振り替えられる恐れが出てきたことで、いろいろな意味でこれまで通りのレベルの研究が継続できるか、危機感が広がっている。

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