Letter

COVID-19:SARS-CoV-2感染に関連した多臓器炎症症候群の小児で見られる末梢免疫表現型

Nature Medicine 26, 11 doi: 10.1038/s41591-020-1054-6

最近の報告から、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に関連した小児での新しい臨床症候群で、多臓器機能不全と全身性炎症からなる、小児多臓器炎症症候群(multisystem inflammatory syndrome in children;MIS-C)が明らかになっている。我々は、MIS-Cの小児25人について、急性期(n = 23、入院後72時間以内で最も重症化)、寬解期(n = 14、臨床的に改善)、および回復期(n = 10、初回の外来受診)の末梢白血球の表現型解析を行い、年齢をマッチさせた健常な小児7人からの検体を対照として比較した。MIS-Cコホートの中で、17人(68%)の小児が、SARS-CoV-2に対して血清学的陽性であり、以前にSARS-CoV-2に感染していたことが示唆され、これらの小児はより重篤な症状を示した。MIS-Cの急性期では、インターロイキン1β(IL-1β)、IL-6、IL-8、IL-10、IL-17、インターフェロンγのレベルが高く、T細胞とB細胞からなる特徴的なサブセットのリンパ球減少症が観察された。急性期には好中球と単球でのCD64の高発現や、γδ T細胞およびCD4+CCR7+ T細胞でのHLA-DRの高発現が見られ、これらの免疫細胞集団が活性化していることが示唆された。抗原提示細胞ではHLA-DRとCD86発現が低下しており、これはおそらく抗原提示が障害されていることを示唆している。これらの特徴は、寬解期や回復期では正常化した。従って、MIS-Cは免疫病原性の疾患であり、川崎病とは異なるように見える。

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