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公衆衛生:鉛曝露リスクおよび世帯所得と小児期の脳の発達との関連

Nature Medicine 26, 1 doi: 10.1038/s41591-019-0713-y

社会経済的因子は脳の発達や構造に影響を与える。しかし、ほとんどの研究が、鉛曝露のような、脳の成長を障害する神経毒による傷害を見過ごしている。小児期の鉛曝露は、測定可能な最小濃度でも認知機能の発達に影響を及ぼすが、小児期の脳の成長に鉛曝露が及ぼす影響についてはほとんど知られていない。今回我々は、9712人の9歳児および10歳児を対象に、脳の構造、認知機能、地理座標を付加した鉛曝露リスクの大きさ、社会人口学的特性の間での横断的関連性を調べた。本論文では、低所得世帯の小児では、高所得世帯に属する小児と比べた場合、鉛曝露リスクが高い国勢統計区での生活に起因する負の因果関係がより強く見られることを示す。曝露リスクが大きくなるにつれて、低所得世帯の小児の認知テストのスコアはより低くなり、大脳皮質の量と表面積がより小さくなった。鉛曝露リスクに関連する環境障害を低減することは、他より不幸な環境に置かれている小児により大きな恩恵をもたらす可能性があり、高い鉛曝露リスクと関連する因子の解明を進めることは、小児で見られるこのような結果を改善するのに必須だと考えられる。

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