Technical Report

ボリュームCT(VCT):非侵襲的で高解像度の腫瘍血管新生モニター技術

Nature Medicine 10, 10 doi: 10.1038/nm1101

ボリューム・コンピューター断層撮影(VCT)は、複数のエリア検出器を使って体積の大きい検体を等方的な分解能で画像化する技術である。我々は現在、フラットパネルX線検出器を備え高解像度の三次元(3D)画像化用に設計されたVCTスキャナー試作機で実験を行っている。今回、この技術を使って、ヌードマウスに異種移植した皮膚扁平細胞癌の微小血管造影像を示す。従来型CTに比べてVCTでは、腫瘍や動物の血管構造をより微細に、かつ適応性高く捉えることができ、造影磁気共鳴(MR)による血管造影よりも優れている。VCTとMRの画像は太い腫瘍血管についてよく対応し、こうした血管の起点をVCTの3D復元像上で追跡できる。組織標本像と比較したところ、VCTでは半径50μmの非常に細い腫瘍血管がくっきりと視覚化できていた。さらに、腫瘍組織内部の細い血管網が画像化されることで、生存領域と壊死領域がよく区別できるようになった。したがって、VCTは腫瘍脈管形成の画像化技術を実質的に向上させるものであり、また腫瘍血管新生や抗血管新生療法の前臨床研究に役立つ機器になるものと期待できる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度