曲がり角に立つインフォームド・コンセントのあり方
Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2012.120926
原文:Nature (2012-06-21) | doi: 10.1038/486312a | A broken contract
市民の協力の下で行われる研究では、事前にインフォームド・コンセントを得る必要がある。しかし、研究データの用途が広がるにつれ、当初想定していなかった目的での利用が増え、協力者との間でトラブルになるケースが増えてきている。インフォームド・コンセントのあり方は転機を迎えているのだ。
2012年5月下旬、個人向けに遺伝子検査サービスを提供している23andMe社(米国カリフォルニア州マウテンビュー)は、まもなく同社の第1号の特許が認められると誇らしげに発表した。23andMe社は、数千人の顧客のデータを利用してパーキンソン病の研究を行い、疾患のリスクに関与していてその進行の予測に利用できる可能性のある塩基配列の特許を出願していたのだ。23andMe社の共同設立者Anne Wojcickiは、同社の特許はパーキンソン病の研究を、「学術研究の成果を発表するだけの世界から、疾患を予防し、治療し、治癒させ、生命に大きな影響を及ぼす世界へと」進ませるのに役立つだろう、とブログで語った。