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放射線照射実験の貴重な標本を救出せよ!

かつての冷戦時代、放射線の健康への影響を調べるために、世界各地で実験動物を使った大規模な放射線照射実験が実施された。時は移り、こうした組織標本のコレクションが今、廃棄の危機に直面している。しかし、これらの標本は、特に低レベル放射線の危険性に関する我々の疑問に答えてくれる可能性があり、現在、世界中の研究者が、その救出・保存に取り組んでいる。

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S. Tapio ; T. Paunesku

Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 8 | doi : 10.1038/ndigest.2012.120810

原文:Nature (2012-05-10) | doi: 10.1038/485162a | Raiders of the lost archive

Alison Abbott

ロシアのウラル地方南部の辺鄙なオジョルスクという町の研究所に、ソ連時代に行われた大規模な秘密実験の標本試料が、ほとんど人に知られることなく保存されている。ここでは、1950年代初頭から冷戦が終結するまで、25万匹近い動物に、体系的に放射線を照射する実験が行われた。α線、β線、γ線を照射した動物もいれば、放射性粒子を食べさせた動物もいる。線量も、即死するほどの高いレベルから無害と思われる低レベルまでさまざまだった。こうしたマウス、ラット、イヌ、ブタ、そして数匹のサルたちが死亡すると、科学者たちは死体を解剖して組織を取り出し、放射線がどのような損傷を与えたかを調べた。肺、心臓、肝臓、脳、その他の器官の薄片をパラフィンに包埋してブロックにし、その切片を顕微鏡で観察した。また一部の器官は、ホルマリン漬けにして瓶に保存した。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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