Research Highlights
石も火には耐えられない
火山灰などが凝結してできた凝灰岩(タフ)は、もろいが加工しやすいため、建材として広く使われている(写真はイタリアの石の都市ピティリアーノ)。今回、少なくとも1種類の凝灰岩が、火災発生後に問題を生じることが明らかになった。
ストラスブール大学(フランス)のMichael Heapらは、イタリアのナポリ周辺の建物で広く利用されている3種類の凝灰岩を調べた。そのうちの2種類は熱ストレスを加えたあとも強度の低下は見られなかったが、最もよく使われているナポリ黄色凝灰岩は、温度が1000℃に達すると耐圧強度が80%も低下してしまったのだ。これは、熱に敏感なゼオライトという鉱物が含まれているからである。
研究チームは、地域の消防条例を制定する際に、他の凝灰岩についても同様の調査を行うよう推奨している。
翻訳:三枝小夜子
Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 7
DOI: 10.1038/ndigest.2012.120718b
参考文献
- Geology 40, 311–314 (2012)