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シナプスの活動を一括して調べることで、神経回路の緻密な配線メカニズムに迫る!

池谷 裕二

Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 5 | doi : 10.1038/ndigest.2012.120520

言語、記憶、感情などの高次機能を発揮する脳の回路。その回路を構成する膨大な神経細胞は、混線やロスなく確実に情報をやりとりするとみられている。高精度な配線と回路編成は、いったいどのようにして行われるのか。東京大学大学院薬学研究科の池谷裕二准教授は、シナプス活動を一斉に観察できる手法を開発し、その解析により、緻密な回路編成の仕組みの一端を明らかにした。

–– Natureダイジェスト:脳神経系の回路に興味を持たれたきっかけは?

池谷:大学院の修士課程までは、古典的な電気生理学の手法で研究していました。神経細胞に電極を刺し、シナプス電位や活動電位を記録する、というものです。これだと、電極を刺した細胞についてはよくわかるのですが、脳全体のことはいっこうにわかりません。しだいに、脳回路全体の活動を記録し、シンフォニーとして理解したいと考えるようになりました。

そこで、2002年にコロンビア大のラファエロ・ユステ准教授のラボに留学しました。ユステ准教授はイメージング研究の第一人者で、神経細胞の活動を一括して記録しようと試みていました。脳のスライス標本に蛍光色素を取り込ませ、神経細胞の振る舞いを一気に記録するというものです。私は留学先で手法の改良を試み、帰国後も同じ研究を続けました。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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