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鳥の鳴き声、スマホで確認

鳥のさえずり(専門的には「発声」という)は、目視とともに野鳥の種類を識別する大事な手がかりだ。だが鳥のさえずりを書き記すにはどうしたらいいだろう? 楽譜に書くこともできるだろうが、バードウォッチャーの多くは音楽家ではない。野外観察図鑑には、漠然と「遠くまで届く憂いを帯びた歌」とか、「ティードゥードゥイー」など呪文のような表現で書かれている例が多い。そもそも、野外で聞いた鳴き声から、鳥の種類をどうやって特定できるのか?

エクアドルの新しもの好きな2人の研究者Hugo Jácome AndradeとDavid Parra Puenteなら、こうした問題を解決できそうだ。彼らは「音を数列に変換して簡単にQRコードに変換しプリントできるソフトウエア」を開発し、2011年11月の米国音響学会で試作品をデビューさせた。録音を取り込んでQRコードに変換し、従来のバーコードスキャナーで音を復元するようすを実演したのだ。

AndradeとPuenteが次に考えているのは、このソフトをスマートフォン用のアプリに作り替え、検索可能な電子書籍フォーマットの携帯図鑑にすることだ。それはバードウォッチャーにとって究極のポケット版野外観察図鑑となるにちがいない。高価で重い機材を持たずに、カメラ付きスマホだけ持って楽しくバードウォッチングに出かける時代が来る。鳥の鳴き声が聞こえてきたら、アプリを起動して調べればよい。スマホには、目で確認するための鳥の写真とバーコードが表示され、バーコードを再生すれば、今聞いた鳴き声かどうか確認できるというわけだ。

「文字で書かれた奇妙なさえずりはもういらない!」とAndradeとPuenteは発表要旨で宣言している。ただし、バーコードでなく普通の言葉で。

翻訳:粟木瑞穂

Nature ダイジェスト Vol. 9 No. 2

DOI: 10.1038/ndigest.2012.120206b