News Feature

チンパンジーも文化を持つ

ゴーン! ゴーン! ゴーン! ― リベリアの熱帯雨林に、何かを強く打ちつける音が響き渡った。これを聞いた研究チームは、身動きを止め、耳を澄ませた。チームメンバーの1人、Vera Leinertは、無言でガイド役のリベリア森林開発庁の森林警備隊員Jefferson ‘Bola’ Skinnahに調べてくるよう指示した。彼は、自分の立てる音がそのゴーン、ゴーンという音でうまくかき消されるようにしながら、忍び足で前進していった。

やがてSkinnahは、森が開けて太陽の光が射し込んでいる場所で、体の大きい1頭の大人のチンパンジーが大きい石を何かに打ちつけているのを見つけた。チンパンジーは、木の実の殻が割れると中身を口に入れ、すぐに別の木の実を割るために石を打ちつけるという行為を繰り返していた。Skinnahがさらに近づこうとすると、チンパンジーは木々の間に姿を消してしまった。Leinertたちがその場所にたどり着いたときには、とっくにいなくなっていた。

リベリアでは、若いチンパンジーのようすを調べるのにカメラトラップ法が役立っている。写真は木の実を割っているところ。 Credit: MAX PLANCK INST. EVOL. ANTHROPOL.

Leinertはこの1年間、チンパンジーの個体数調査のために、リベリアの最初にして唯一の自然保護区であるサポ国立公園を歩き回ってきた。彼女はマックス・プランク進化人類学研究所(EVA:ドイツ・ライプチヒ)の学生ボランティアで、この人間に対して警戒心の強い動物をまだ一度も実際に見たことはなかった。が、この保護区に棲むチンパンジーの何頭かについては、隠し撮りされた映像を通じてよく知っていた。ある活動的な太鼓腹の若い雄は、体を支えるために若木をしっかりつかみながら、堅い木の実に石を激しく打ちつける。また、もっと力が強く、1個の木の実を3回叩くだけで割ることのできる大人のチンパンジーもいる。一方、調査地点を、赤ん坊を連れて通り抜ける母親たちもいる。こうしたようすは、サポ保護区全体に戦略的に設置したビデオカメラでとらえられた。

野生チンパンジーの調査が難しいことはよく知られている。それは、彼らが人間に近寄らないからだ。これはもっともな話だ。肉が目的の密猟やヒトの呼吸器疾患の伝染によってチンパンジー個体数が減少し1、また、森林伐採や資源採掘事業によってその生息域が奪われてきたからである。このため、個体数が激減している。しかし、大型類人猿が生息しているほとんどの国では、チンパンジーの適正な調査がこれまで一度も行われておらず、正確な生息数はわかっていないのが実情である。

こうした状況は、アフリカ全域の大型類人猿個体数調査に初めて取り組む「汎アフリカ大型類人猿プログラム(Pan Africa Great Ape Program)」によって、変わるかもしれない。このプロジェクトに参加する研究者たちは、チンパンジー個体数調査(下図参照)に加えて、チンパンジーの群れがいる15か国40か所の調査地点にビデオとマイクの自動記録装置を設置する計画を立てている。この大型類人猿プログラムは、EVAの霊長類学部門主任のChristophe Boeschと、同じくEVAのHjalmar Kühlの2人が率いており、アフリカ各地に棲むチンパンジーの行動(木の実割りから発声まで)が地域によってどう異なっているかを把握することを目的とし、最終的には、チンパンジーの「文化」と呼べるものの起源や程度を明らかにすることをめざしている。

Credit: SOURCE: HJALMAR KÜHL

ごく最近まで、文化、すなわち社会的に継承される行動は、ヒトだけのものだと考えられていた。しかし現在では、多くの動物が何らかの文化を持っているという認識が広まりつつある。特に、遺伝子の98%がヒトと共通しているチンパンジーは、動物界の中でも最も幅広い行動の差異が報告されている。ヒトとほかの動物を区別する境界線は薄れつつある、という研究者もいる。「白か黒かという単純なものではないのです」。Leinertの指導教官Kühlは、こう語る。

古い考え方に基づけば「ヒトだけが文化を持っている」ことになる、とエール大学人類学科(米国コネチカット州ニューヘイヴン)の生物地理学者Jason Kamilarは話す。「だとすると文化は、ヒトらしさを定義する特徴であり、ヒトがチンパンジーと分かれた後、どこかの時期に進化したことになります。しかし、チンパンジーに文化があるならば、おそらくチンパンジーとヒトの最終共通祖先も文化を持っていたことになります」。

行動の分布地図を作る

チンパンジーの中には、にわか雨が降り始めると、ゆったりとダンスをするものがいる。また、軍隊アリを捕獲するのに長い小枝を使うのもいれば、短い小枝を使うものもいる。西アフリカでは、いくつかのチンパンジー集団が木の実を割るために石や木片で叩く行動をする。しかし、コートジボワールを流れるンゾ川−ササンドラ川の東側では、木の実割り行動が観察されているのは1つの集団のみである。

これまで、こうした行動の差異は、研究のために慎重に人間に慣れさせたチンパンジー集団を、何年にもわたって調査する中で観察されてきた。だが、アフリカにはそうした調査集団が12しかない(8ページ図参照)。そのうちで最も有名なのが、霊長類学者ジェーン・グドールのタンザニア・ゴンベ川国立公園内の調査集団である。

1999年、セントアンドリュース大学(英国)の進化心理学者Andrew Whitenの研究チームは、これらの調査集団のうち7つの集団で見られる行動のリストをまとめ、チンパンジーは暮らしている地域によって独自の伝統を持っていることを示した2。同チームは、リストの65種類の行動のうち、特に理由がないのに集団間で異なっている行動が少なくとも39種類あることを突き止めたのだ。

ヒトの場合、文化は個体から個体へと受け継がれる。また、実験室での研究から、チンパンジーも学習した習慣を受け継ぐ能力を持つことがわかっている。Whitenのチームが行ったある実験では、2頭のチンパンジーに、箱から餌を入手するための複雑な一連の手順を教え込み、元の集団へ戻したところ、すぐに集団内のすべてのチンパンジーが、この手順で餌を手に入れるようになった3。しかし、そうした社会的学習が野生状態でも起こるのかどうかははっきりしない。ゴリラやボノボも、実験室では道具の使用を覚えさせることができるが、自然の生息環境ではめったに道具を使うことはないのだ4

野生状態で文化を解明することは難しい。なぜなら、集団間の行動の違いに、遺伝的条件や環境条件の差異など、ほかの原因がないことをはっきりさせねばならないからだ。「チンパンジーがすべて同じ行動をとらないのはなぜか。その1つの答えは、集団間にある目に見えない生態の違いによるものです」と、ハーバード大学(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)の霊長類学者Richard Wranghamは言う。彼によれば、1種類の行動は、降雨量や、チンパンジーが利用できる樹木の種類、生息域にいる捕食者の種類といったいくつもの可変要素と結びついている可能性がある。

こうした要素の影響は得てして気付きにくいものだが、ある事例が、どうやってチンパンジーが小枝を使って軍隊アリを捕獲するのかを調べている際に見つかっている。ギニアに棲むチンパンジーは、時には短い小枝を使い、時にはその2倍もの長さの小枝を使う。その理由は、ケント大学(英国)の人類学者Tatyana Humleが解明するまでわからなかった。彼女は、アリの中には脚が長く顎も大きい攻撃的なものがいて、そういうアリは小枝を駆け上がる速度が速く、噛む力も強いことを見つけたのだ5。アフリカのほかの場所に棲むチンパンジーも同様に、道具の長さをいろいろ変えてアリを捕らえるが、同様の理由からだろう。

しかし、アリの捕獲に関係したほかの差異については、はっきりした理由がまだ見つかっていない。コートジボワールに棲むチンパンジーは、小枝に付いたアリをぬぐって手のひらに載せてから食べる。そこから320 kmほどしか離れていないギニアでは、アリが付いたままの小枝を自分の口に直接差し込む。どちらの場所も、生息するアリの種類は同じなのにである。

遺伝的な影響の排除もやはり困難である。今年、EVAの分子生態学者Kevin Langergraberの研究チームは、9つのチンパンジー集団の遺伝データと行動データを比較解析した。すると、ミトコンドリアDNAの重なり合いが大きい集団ほど、行動の類似性も大きかった6。「現在言えることは、遺伝による説明付けもまだ排除できないということです」とLangergraberは話す。

現在アフリカには、20万~30万頭のチンパンジーがいると考えられているが、Whitenによれば、研究者がこれまで調査したのは、人間に慣れた群れのいる12地点の計700~1000頭にすぎないという。この程度の集団数から得られる情報では、遺伝子と環境が行動の差異にどのように影響しているかを解明するには少なすぎる。Kühlはこの状況を、世界各地に散らばるほんの一握りの数の村を調べて、ヒトの文化を定義する儀式のすべてについて基本的な結論を引き出すようなものだと言っている。

Whitenのチームは現在、人間に慣れたチンパンジーのいる調査地点すべてで、チンパンジーの行動と生態をさらに詳しく比較解析している。研究チームが今使っているこのデータは、50年という月日をかけて、辛抱強く観察し、研究して得られたものだ。

しかし今後は、Leinertのチームがリベリアで行っているように、要所要所に隠しカメラを設置して撮影するという方法をとるべきかもしれない。この方法は有効なことがすでに実証されている。Boeschの研究チームは2年前にガボンで、地面にランダムに空いた小さい穴を見つけて不思議に思った。そこで隠しカメラを仕掛けたところ、チンパンジーが穴を掘って地下のハチの巣から蜂蜜を取り出しているところが、記録されていた7。こうした行動は、それまで誰も観察したことがなかった。「このカメラトラップ法は、野生のチンパンジー集団の、今まで知られていなかった複雑で技術的な行動を明らかにするのに、強力な方法であることが証明されつつあります」とWhitenは話す。

行動を現場で自動撮影

話を最初に戻そう。サポ保護区の調査地点ではチンパンジーはすでに去ってしまっていたが、Leinertは手袋を着けて、チンパンジーがギニア産プラム(Parinari excelsa)の種を割るのに使った石を手に取り、計測した。その石はかなり大きく、重さは880 gもあった。彼女は今後の解析のために木の実を採集し、遺伝学研究のために体毛や糞便の試料も集めた。さらにLeinertは、木の実割り行動に関するデータをもっと収集するために、後日、その場所にビデオカメラを1台設置しようと考えている。カメラは充電式で、小さな箱に入れて、チンパンジーの肩ほどの高さの木の幹に仕掛ける。赤外線動作感知器が付いており、感知範囲で何かが動くと、カメラが1分間作動する仕組みだ。

Hjalmar Kühl(左写真のいちばん手前)と研究員たちが、チンパンジー個体数を数えるために、リベリアのサポ国立公園を調査している。この公園内に仕掛けたマイク(右写真)とカメラで、チンパンジーの行動を記録する。 Credit: G. VAIDYANATHAN; V. LEINERT

木の実割りが行われるこの場所の近くでは、すでに、太陽電池を使ったマイクで森の中の音を記録し続けている。チンパンジーはさまざまな鳴き声を発する。例えば、短い高音のフーホーフーホーという鳴き声(「パントフート」と呼ばれる)は個体ごとに独特である。そこで、研究者は鳴き声をもとに個体を特定したり、群れの大きさを見積もったりする。鳴き声は、ヒト言語の方言に似た、一種の音声文化なのかもしれない8

汎アフリカ大型類人猿プログラムでは今後5年かけて、アフリカ各地にこれと同様の記録基地を設ける予定である。「このデータから、きっと2、3年で、40の個体群から行動の違いが見つかるでしょう。ご存知のように、この個体群の数は現在調査している個体群の4倍以上になります」とBoeschは言う。

こうしたデータは、木の実割りなどの行動の分布や拡散に、遺伝子や生態環境、社会的伝承がどう影響しているかを調べるためのコンピューターモデルの設計に役立つのではないかと、Kühlは考えている。1つの可能性として、チンパンジーの雌が性的に成熟して新しい集団へ移動するときに、生まれ育った群れで学習した行動も一緒に持ち込むことが考えられる。別の可能性としては、各集団で独自の行動がいくつか生み出され、そのうちの一部が集団内で流行して文化になることも考えられる。また、1つの慣習が一部の集団では廃れ、ほかの集団では存続することもありうる。あるいは、チンパンジー集団の中には、新規参入してきた個体から新しいやり方を取り込むことを拒む集団もあるかもしれない。いくつかの集団で同じような行動が見られる一方で、そうでない集団がある理由は、これで説明できそうである。

Kühlたちがモデル化研究を行うためには、ビデオカメラやマイクで得た記録を今よりも速く解析できる方法を開発する必要がある。この種の記録は毎月、数百時間分が蓄積されているからだ。現在、学生たちが記録を解析しているが、Kühlによれば、1時間のビデオを解析するのに10時間もかかる場合があるという。そこで、Digital Media Technology社フラウンホーファー研究所(ドイツ・イルメナウ)の技術者たちが、チンパンジーの顔パターンや目の下のしわなど個別の特徴から個体を識別するための、コンピューターアルゴリズムを開発した。このソフトウェアを動物園のチンパンジーでテストしたところ、83%の確率で個体を正しく識別でき、また、人間の10倍の速度で記録を解析処理できた。

ただし、大人のチンパンジーが縄張り内をどう巡回するのか、また、広域的な行動については、ビデオカメラでは明らかにできない。これではチンパンジー社会にある伝統の全体像まではつかめないだろう。そのうえ、自動撮影による記録法では、軍隊アリの大顎の大きさや脚の長さといった、最終的に特定の行動を説明付ける可能性がある、生態環境の細かい情報は決してとらえられないだろう。こうした情報は、研究者が現場に出向かなければ手に入れることができないのだ。さらに、どのようにしてチンパンジー個体が文化の推進役として互いに伝統を継承していくかを知るためには、長期の行動調査が必要となる。

しかしながら、Leinertがサポ国立公園内に設置した30台のカメラからすでに、かすかなてがかりがいくつかもたらされている。Leinertが最も興味を引かれているのは、「Janosch」と彼女が名付けた活発な若い雄だ。「彼の太鼓腹と、木の実を割るための石の打ちつけ方」は彼女のお気に入りとなっている。Janoschは、見るものを楽しませてくれるだけでなく、時には打ちつける石を持ち運ぶことがある。これは、サポ国立公園に棲むほかの多くのチンパンジーでは見られない行動で、集団内のほかの個体にもまだ流行していないと考えられる。もしそうなら、Leinertは、文化の差異が生じていく現場を、森に仕掛けたビデオカメラを通して目撃できるかもしれない。

チンパンジーは何頭残っている?

個体数を調べるために、研究者たちは15か国を渡り歩いている。

2歳になるチンパンジーのJacobは、1日のほとんどを、自分と大して違わない大きさの木の箱の中で過ごしている。リベリアのサポ国立公園で生まれた彼は、密猟者の腕に死んだ母親とともに抱かれているところを、森林警備隊員に見つけられて保護された。

こんな話はアフリカではちっとも珍しくはない。ナイジェリアでは野生動物の肉が貴重なタンパク質源の1つであり、死んだチンパンジーが1頭200ドル(約1万5000円)で売れる。野生のチンパンジーがいったい何頭いるのか、誰も正確に把握していない。2003年に国際自然保護連合(IUCN)が非常に大雑把な計算で、17万2700~29万9700頭と見積もった。しかし、野生チンパンジーの個体数は急速に減少しつつあり、多くの集団は今後数十年のうちに消滅する可能性が高い。2008年の調査では、コートジボワールのチンパンジー個体数は17年で90%減少したことがわかっている。

こうしたデータ不足を受けて、2010年にマックス・プランク進化人類学研究所(EVA:ドイツ・ライプチヒ)は、EVAに本部を置く「野生チンパンジー基金」と米国バージニア州アーリントンに本部を置く「コンサベーション・インターナショナル(CI)」と協力して、汎アフリカ大型類人猿プログラムを発足させた。彼らがめざすのは、アフリカ15か国で全国規模の調査を行って、アフリカ大陸に何頭のチンパンジーが残っているかを見積もることだ。プログラムに関係する研究者たちは、その予算を開示しようとしないが、調査費用が高額になることや、必要な資金をまだすべて確保できていないことは認めている。

この調査の一環として、EVAの大学院生Jessica Junkerは、リベリアの大学院生やリベリア農林開発庁から派遣された森林警備隊員らとともに、リベリアを格子状に68の四角い区画に分けて生態調査を行うため、約400 kmを踏破している。彼らは徒歩で灌木やシダが生い茂る中を分け入り、ぬかるんだ深い谷を進み、チンパンジーの営巣場所を探した。チンパンジーは普通、1頭ごとに毎日新しい巣を作るので、巣の崩れ具合から作製時期が推定できる。また、その区域にいる個体数がどれくらいかもわかる。Junkerたちのこれまでの知見から、リベリアには少なくとも3300頭のチンパンジーがいるとみられる。

シエラレオネでも同様の手法で調査が行われた。2008~10年の「タクガマ全国チンパンジー個体数調査」では、同国内に5500頭以上が生息しているという算定結果が出た。この数字は1981年の2500頭という算定数よりかなり多いが、これはおそらく、古い調査ではあまり系統的な調査法が使われなかったためだろう。

汎アフリカ大型類人猿プログラムの共同運営者であるEVAのChristophe Boeschは、同プログラムのおかげで保護活動を最良の形に持っていけると言っている。しかし、各国の大型類人猿の正確な個体数をつかむにはそれなりの労働力が必要なため、かなりの費用がかかる。

また、一部の保護活動家はむしろ、密猟を取り締まる法律の強化に資金を投入したほうがいいと考えている。「負け戦だと知るために国家規模の調査をする必要はないでしょう」と、環境保全団体WWFのアフリカ大型類人猿プログラム(African Great Apes Program)のまとめ役をしているDavid Greerは話す。「もっと毅然と、もっと攻めの姿勢で、いろいろな介入策を講じてチンパンジーの個体数減少を止めようとすべきです」。

G.V.

翻訳:船田晶子

Nature ダイジェスト Vol. 8 No. 11

DOI: 10.1038/ndigest.2011.111106

原文

Apes in Africa: The cultured chimpanzees
  • Nature (2011-08-18) | DOI: 10.1038/476266a
  • Gayathri Vaidyanathan
  • Gayathri Vaidyanathanは、Natureに在籍する国際開発研究センター(IDRI)研究員。

参考文献

  1. Köndgen, S. et al. Curr. Biol. 18, 260-264 (2008).
  2. Whiten, A. et al. Nature 399, 682-685 (1999).
  3. Whiten, A., Horner, V. & de Waal, F. B. M. Nature 437, 737-740 (2005).
  4. McGrew, W. C. Science 328, 579-580 (2010).
  5. Schöning, C., Humle, T., Möbius, Y. & McGrew, W. C. J. Hum. Evol. 55, 48-59 (2008).
  6. Langergraber, K. E. et al. Proc. R. Soc. B 278, 408-416 (2011).
  7. Boesch, C., Head, J. & Robbins, M. M. J. Hum. Evol. 56, 560-569 (2009).
  8. Mitani, J. C., Hasegawa, T., Gros-Louis, J., Marler, P. & Byrne, R. Am. J. Primatol. 27, 233-243 (1992).