棒状構造を持つ宇宙初期の銀河
目を見張る銀河の眺めは、昔から天文学者も一般の人々も魅了してきた。地球に近い銀河の多くは、内部ダイナミクスへの自然な応答の結果、高度に組織化された形状になっている。このような形状には渦巻構造と棒状構造がある。棒状構造とは、大型の銀河の中心部を横切って伸びる、星とガスが細長く配置された構造だ(図1a)。棒状構造は、進化が進み、高度に組織化されたシステムであり、形成に時間を要するので、ごく初期の宇宙で生じるとは考えられていなかった。しかし、国立天文台(東京都)と名古屋大学に所属する黄爍(Shuo Huang)らは、宇宙が現在の年齢の約20%に当たる、わずか26億歳の時の銀河が持つ大規模な棒状構造の観測を、Nature 2025年5月22日号861ページで報告した1。
図1 棒状構造を持つ銀河
a 多くの渦巻銀河は、この可視光画像で示したNGC6217のように、その中央部を横切って伸びる、星とガスの細長い配置を持つ。こうした棒状構造は、形成に長い時間が必要だと考えられていて、このため、初期の宇宙に存在するとは考えられていなかった。
b 黄らは、宇宙がわずか26億歳だった時の銀河が明瞭な棒状構造(この赤外画像に示されている)を持っているという観測を報告した1。これは、棒状構造が初めて形成されたと考えられていた時期よりもはるかに前だ。参考文献1の図1aより転載。
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翻訳:新庄直樹
Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 8
DOI: 10.1038/ndigest.2025.250846
原文
Early barred galaxy raises questions about cosmic evolution- Nature (2025-05-22) | DOI: 10.1038/d41586-025-01444-x
- Deanne Fisher
- スウィンバーン工科大学(オーストラリア)に所属
参考文献
- Huang, S. et al. Nature 641, 861–865 (2025).
- Hubble, E. Astrophys. J. 64, 321–369 (1926).
- Kuhn, V. et al. Astrophys. J. 968, L15 (2024).
- Binney, J. & Tremaine, S. Galactic Dynamics 2nd edn (Princeton Univ. Press, 2008).
- Athanassoula, E., Machado, R. E. G. & Rodionov, S. A. Mon. Not. R. Astron. Soc. 429, 1949–1969 (2013).
- Kormendy, J. & Kennicutt, R. C. Annu. Rev. Astron. Astrophys. 42, 603–683 (2004).
- Weinberg, S. in The First Three Minutes: A Modern View of the Origin of the Universe Ch. 2 (Basic Books, 1977).
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