2段階の業務評価で人種的偏見は減ずる
Botelhoらは、業務の評価方法を従来の5段階から「良い」か「悪い」の2段階に変更しただけで、人種的偏見よる評価の偏りが改善され、より公平性を高めることができることを示した。 Credit: Visual Generation/iStock/Getty
業務評価はあらゆるところで行われている。教授の教育評価であれ、ライドシェアの運転手を星の数で評価するシステムであれ、業務評価は雇用主が被雇用者をどう評価し、どのくらいの報酬を与えるかを決める際の重要な手段となっている。しかし、業務評価には偏りがあることはよく知られている。これらの評価には社会的な固定観念が反映されており、同じ業務でも、どんな人が行ったと思うかによって評価が変わってくるのだ。例えば、一般に人種的マイノリティーは白人に比べ、また女性は男性に比べ、同等の仕事をしても評価が低くなる1,2。業務評価における偏見については文書で十分に裏付けられているが、評価をより公平にする方法を見極めることは、依然として未解決であり実証が必要な問題である。このほど、エール大学(米国コネトチカット州ニューヘイブン)のTristan L. Botelhoら3は、オンライン労働市場において業務を評価する際の人種的偏見を排除できる簡単な方法を、Nature 2025年3月13日号395ページに報告している。つまり、評価尺度を単純にすればいいのである。
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翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 6
DOI: 10.1038/ndigest.2025.250646
原文
Racial bias eliminated when ratings switch from five stars to thumbs up or down- Nature (2025-03-13) | DOI: 10.1038/d41586-025-00304-y
- Lauren Rivera
- ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院(米国イリノイ州エバンストン)に所属
参考文献
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- Pager, D. & Shepherd, H. Annu. Rev. Sociol. 34, 181–209 (2008).
- Botelho, T. L., Jun, S., Humes, D. & DeCelles, K. A. Nature 639, 395–403 (2025).
- Rivera, L. A. & Tilcsik, A. Am. Sociol. Rev. 84, 248–274 (2019).
- Espeland, W. N. & Sauder, M. Engines of Anxiety: Academic Rankings, Reputation, and Accountability (Russell Sage Foundation, 2016).
- Fourcade, M. & Healy, K. The Ordinal Society (Harvard University Press, 2024).
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