シリコン上にレーザーダイオードを直接作製
今回ガリウムヒ素(GaAs)レーザーダイオードの基板として使われた直径300 mmのシリコンウエハーは、現在さまざまな半導体デバイスの基板として広く用いられている。 Credit: Aaron Hawkins/iStock/Getty
インターネットは、光のパルスを使って情報を伝送する光波通信に支えられている。こうした通信を扱うデータセンターの数は年々増えており、膨大なデータを必要とする機械学習システムや人工知能システムの使用拡大に伴い、その消費エネルギーは急速に増大している。こうした電力問題の対応策として、シリコンウエハー上にフォトニックチップ(光集積回路)を構築する光マネジメント技術1が浮上している。フォトニックチップの主要素子はレーザー光源だが、そうしたレーザーはこれまで、それ以外の部分が作製された後に別の工程2–4でチップ上に設置されてきた。しかし、この方式では、将来的なフォトニックチップの大量製造は複雑なものになってしまう。このたび、ベルギーのナノエレクトロニクス研究機関imec(ルーヴェン)のYannick De Koninckら5は、既存のチップ製造のプロセスとシステムを用いて標準的なシリコンウエハー上にレーザーを作製する方法を開発し、この問題を見事に解決した。この成果は、Nature 2025年1月2日号63ページで報告された。
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翻訳:藤野正美
Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 4
DOI: 10.1038/ndigest.2025.250449
原文
Direct fabrication of lasers on silicon suggests solution to chip-production problem- Nature (2025-01-01) | DOI: 10.1038/d41586-024-04104-8
- Brian Corbett
- ユニバーシティ・カレッジ・コーク(アイルランド)に所属
参考文献
- Shekhar, S. et al. Nature Commun. 15, 751 (2024).
- Fang, A. W. et al. Opt. Express 14, 9203–9210 (2006).
- Justice, J. et al. Nature Photon. 6, 610–614 (2012).
- Marinins, A. et al. IEEE J. Sel. Top. Quantum Electron. 29, 8200311 (2023).
- De Koninck, Y. et al. Nature 637, 63–69 (2025).
- Hall, R. N., Fenner, G. E., Kingsley, J. D., Soltys, T. J. & Carlson, R. O. Phys. Rev. Lett. 9, 366 (1962).
- Li, J. Z. et al. Appl. Phys. Lett. 91, 021114 (2007).
- Shi, Y. et al. Optica 4, 1468–1473 (2017).
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