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死にゆく恒星がその深部の構造を明らかに

超新星は、恒星がその一生の終わりに爆発する、短期間で明るいイベントだ。今回の観測結果が得られたのは、いくつかの偶然の出来事が重なったおかげだった。超新星SN2021yfjは、爆発後すぐに発見され、天文学者たちがこれまで見たことがなかったものをあらわにした。つまり、大質量星の中心核(コア)を取り巻いていると理論的に予測されていた、ケイ素(と硫黄)に富む層だ。ノースウェスタン大学(米国イリノイ州)のSteve Schulzeら(東京大学、京都大学の研究者を含む)は、この非常にまれなイベントをNature 2025年8月21日号634ページで報告した1。この研究は、恒星の中での重い元素の合成についてこれまでにない理解をもたらし、さらに、恒星がその最後の時期にその外側の層をどのようにして失うのかに関し、解明すべき課題を残した。

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翻訳:新庄直樹

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 11

DOI: 10.1038/ndigest.2025.251146

原文

Dying star reveals its inner structure
  • Nature (2025-08-21) | DOI: 10.1038/d41586-025-02425-w
  • Anya Nugent & Peter Nugent
  • Anya Nugentは、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)に所属
    Peter Nugentは、ローレンス・バークレー国立研究所計算宇宙論センター(米国カリフォルニア州)に所属

参考文献

  1. Schulze, S. et al. Nature 644, 634–639 (2025).
  2. Timmes, F. X., Woosley, S. E. & Weaver, T. A. Astrophys. J. 457, 834 (1996).
  3. Burbidge, E. M., Burbidge, G. R., Fowler, W. A. & Hoyle, F. Rev. Mod. Phys. 29, 547 (1957).
  4. Gal-Yam, A. et al. Nature 509, 471–474 (2014).
  5. Hook, I. M. Phil. Trans. R. Soc. 371, 20120282 (2013).
  6. Kessler, R. et al. Publ. Astron. Soc. Pac. 122, 1415–1431 (2010).