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小学1年生で、男子は女子を数学で上回る

数学の能力の男女差は、子どもたちが小学校に入学後、間もなく生じることが明らかになった。これは通学する学校の種類や社会経済的背景には関係していない。

科学・技術・工学・数学（STEM）分野で仕事をする女性の割合が低いことは社会の損失と言える。科学的知識の創出を妨げ、経済的不平等を生み出すからだ。高等教育や労働力における男女の差は、幼児期には数学的能力おいて男女差がないこととは全く対照的である1。このような男女差を減らすには、いつ頃介入を始めたらよいかを教育政策立案者が知る必要があるため、格差の原因を理解することが重要なステップとなる。このたび、Pauline Martinotら2は、フランスの小学1年生と2年生の5～7歳の子ども約260万人のデータを用いて、数学の成績における男女差の発生を系統的に示している。その結果、男女差は就学前ではなく、1年生の間に生じていることが明らかとなり、この成果は、Nature 2025年7月24日号1020ページに掲載された。

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翻訳：古川奈々子

Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 10

DOI: 10.1038/ndigest.2025.251050

原文

Boys surpass girls in maths in the first year of school
  • Nature (2025-07-24) | DOI: 10.1038/d41586-025-01717-5
  • John A. List & Andrew Simon
  • John A. Listはシカゴ大学経済学部（米国イリノイ州）に所属
    Andrew Simonはバージニア大学（米国シャーロッツビル）フランク・バッテン・リーダーシップ・公共政策大学院に在籍

参考文献

  1. Fryer, R. G. Jr & Levitt, S. D. Am. Econ. J. Appl. Econ. 2, 210–240 (2010).
  2. Martinot, P. et al. Nature 643, 1020–1029 (2025).
  3. Karna, U., Lee, M. S., List, J. A., Simon, A. & Uchida, H. Nature 639, 976–984 (2025).
  4. Fischer, J.-P. & Thierry, X. Br. J. Dev. Psychol. 40, 504–519 (2022).
  5. List, J. A. Experimental Economics: Theory and Practice (Univ. Chicago Press, in the press).
  6. Dhuey, E., Figlio, D., Karbownik, K. & Roth, J. J. Policy Anal. Mgmt 38, 538–578 (2019).