News & Views
光子を使ったトンネル効果でボーム解釈に疑問を呈する結果
2025年は、量子力学の100周年を記念する「量子科学技術国際年」だ。量子力学は、原子以下のスケールで正確な予言をするものの、量子理論の方程式をどう解釈すべきかについてはいまだに議論が続いている。トゥウェンテ大学(オランダ)のVioletta Sharoglazovaらは、光子がトンネリングと呼ばれる量子現象(トンネル効果)を行うのにどれだけの時間がかかるかを測定することにより、量子理論の標準的な解釈に代わる解釈を検証し、Nature 2025年7月3日号67ページで報告した1。この代替解釈は「ボーム力学」と呼ばれ、無限に長い障壁の中にトンネリングする量子的粒子は静止していると予言するが、Sharoglazovaらの結果はこの理論に疑問を投げ掛けるものだった。
全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。
本サービスでは、サイトご利用時の利便性を向上させるためにCookiesを使用しています。詳しくは、シュプリンガーネイチャー・ジャパン株式会社の「プライバシー規約」をご覧下さい。
翻訳:新庄直樹
Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 10
DOI: 10.1038/ndigest.2025.251048
原文
Tunnelling photons challenge interpretation of quantum mechanics- Nature (2025-07-03) | DOI: 10.1038/d41586-025-01765-x
- Alessandro Fedrizzi & Fabio Biancalana
- 共にヘリオット・ワット大学(英国エディンバラ)に所属
参考文献
- Sharoglazova, V., Puplauskis, M., Mattschas, C., Toebes, C. & Klaers, J. Nature 643, 67–72 (2025).
- Ramos, R., Spierings, D., Racicot, I. & Steinberg, A. M. Nature 583, 529–532 (2020).
- Bohm, D. Phys. Rev. 85, 166–179 (1952).
- Klaers, J., Schmitt, J., Vewinger, F. & Weitz, M. Nature 468, 545–548 (2010).
- Büttiker, M. & Landauer, R. Phys. Rev. Lett. 49, 1739–1742 (1982).
- Büttiker, M. Phys. Rev. B 27, 6178–6188 (1983).
- Field, G. E. Eur. J. Phil. Sci. 12, 57 (2022).
関連記事
2025年11月号
2025年11月号
2025年11月号
2025年10月号
2025年10月号
Advertisement