2種類のタンパク質が絡み合ってできたフィラメント
神経変性疾患は、約100年前に初めて報告されて以来、脳におけるタンパク質の折りたたみ異常によって生じたタンパク質フィラメントの凝集に特徴付けられている。これまでの構造研究から、こうしたフィラメントは、タウ、αシヌクレイン、アミロイドβなど、1種類のタンパク質が規則的に並んだ集合体から生じるという共通点が示唆されていた。このほどMRC分子生物学研究所(英国ケンブリッジ)のDiana Arseniら1は、世界で初めて、TDP-43(TAR DNA-binding protein 43)とアネキシンA11(ANXA11)という2種類のタンパク質で構成される疾患関連フィラメントを観察し、Nature 2024年10月17日号662ページで報告している。Arseniらは、クライオ電子顕微鏡法(クライオEM)と呼ばれる技術を用いて、これら2種類のタンパク質の断片が相互作用してらせん状のフィラメントに構築される仕組みを明らかにし、神経変性疾患を引き起こす凝集体が生じる機構についての手掛かりを示している。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 22 No. 1
DOI: 10.1038/ndigest.2025.250141
原文
Hybrid protein filaments are a surprise twist in neurodegeneration- Nature (2024-10-02) | DOI: 10.1038/d41586-024-03054-5
- Michael S. Fernandopulle & Michael E. Ward
- 共にNIH国立神経疾患・脳卒中研究所(米国メリーランド州ベセスダ)に所属
参考文献
- Arseni, D. et al. Nature 634, 662–668 (2024).
- Arseni, D. et al Nature 601, 139–143 (2022).
- Arseni, D. et al. Nature 620, 898–903 (2023).
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