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ニュートリノ解明は「大気ニュートリノ」で可能
ニュートリノは、宇宙の電子、陽子、中性子よりも約10億倍も数が多いが、他の物質とわずかな相互作用しかしない。太陽の中心核で生じた典型的なニュートリノは、1光年(約10兆km)にわたる鉛を何にも衝突せずに通過することができる。このため、ニュートリノを調べることは難しいが、ニュートリノはあまねく存在するため、宇宙を形作る際にも重要な役割を果たしてきた。ハーバード大学(米国マサチューセッツ州)のCarlos Alberto Argüelles-Delgadoらは、解明が難しいニュートリノの性質を、地球の大気中で生じたニュートリノの測定で決定できる可能性があることを、Physical Review Xに掲載された論文で示した1。その性質は宇宙全体の形成に関する手掛かりを与えてくれる。
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翻訳:新庄直樹
Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 4
DOI: 10.1038/ndigest.2024.240449
原文
Neutrino secrets could be revealed by Earth’s atmosphere- Nature (2024-01-11) | DOI: 10.1038/d41586-023-04085-0
- Josh Spitz
- ミシガン大学(米国アナーバー)に所属。
参考文献
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