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火星の深部は軟らかい
2019年、火星は、地球と月に続き、人類がその内部深くの地震学的研究を行った、宇宙で3番目の天体になった。米国航空宇宙局(NASA)が2018年5月に打ち上げた火星探査機「インサイト」は、SEIS(内部構造地震学実験)と呼ばれる地震計を使って、火星の内部を通過した地震波を記録した。この地震計は、隕石の衝突によって生じた2つの地震イベントを含め、3年近い期間の火星地震のデータを集めた。パリ地球物理学研究所(IPGP、フランス・パリ)のHenri Samuelら(712ページ)1とチューリヒ工科大学(スイス)のAmir Khanら(718ページ)2は、これらの地震信号の分析結果をNature 2023年10月26日号で発表した。彼らが見いだしたことは、火星の地殻の下深くにある層に関する理解を深め、火星内部の構造と起源を、太陽系の岩石惑星(地球型惑星)の形成と進化のシナリオの中で理解するのに役立つ。
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翻訳:新庄直樹
Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2024.240246
原文
Deep Mars is surprisingly soft- Nature (2023-10-25) | DOI: 10.1038/d41586-023-03151-x
- Suzan van der Lee
- ノースウェスタン大学地球惑星科学科 (米国イリノイ州エバンストン)に所属。
参考文献
- Samuel, H. et al. Nature 622, 712–717 (2023).
- Khan, A. et al. Nature 622, 718–723 (2023).
- Elkins-Tanton, L. T., Zaranek, S. E., Parmentier, E.M. & Hess, P. C. Earth Planet. Sci. Lett. 236, 1–12 (2005).
- Stähler, S. C. et al. Science 373, 443–448 (2021).
- Steenstra, E. S. & van Westrenen, W. Icarus 315, 69–78 (2018).
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