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がんはニューロンの学習機構を乗っ取る
がんは、正常な細胞機構の調節不全によって生じることが多い。がん細胞は、正常な細胞過程を利用して、自身の生存、増殖、浸潤性を高められるからである。通常の細胞過程を標的として、がん細胞を抑制したり殺傷したりする治療法を開発しようと、多大な努力がなされてきた。しかし、この手法では標的にできないがんが多く存在する。その典型が脳腫瘍で、プログレッションに他の要因が関与していることが示唆されている。このほどスタンフォード大学(米国カリフォルニア州)のKathryn R. Taylorら1は、脳腫瘍が予想外のタイプの細胞過程を利用していることを明らかにし、Nature 2023年11月9日号366ページで報告している。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2024.240249
原文
Brain cancer thrives by hijacking mechanisms to boost synapse strength- Nature (2023-11-09) | DOI: 10.1038/d41586-023-03306-w
- Matthew B. Dalva
- チュレーン大学(米国ルイジアナ州ニューオーリンズ)に所属。
参考文献
- Taylor, K. R. et al. Nature 623, 366–374 (2023).
- Boilly, B., Faulkner, S., Jobling, P. & Hondermarck, H. Cancer Cell 31, 342–354 (2017).
- Hanahan, D. & Monje, M. Cancer Cell 41, 573–580 (2023).
- Das, K. K. & Kumar, R. in Glioblastoma (ed. De Vleeschouwer, S.) Ch. 15 (Codon Publications, 2017).
- Omuro, A. & DeAngelis, L. M. JAMA 310, 1842–1850 (2013).
- Park, H. & Poo, M.-m. Nature Rev. Neurosci. 14, 7–23 (2013).
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- Newpher, T. M. & Ehlers, M. D. Neuron 58, 472–497 (2008).
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