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遺伝的多様性を内包したキメラ型脳オルガノイド

ヒト大脳皮質は精緻で複雑な構造を持つ
ヒト大脳皮質の発達は独特で慎重に組織化されており、遺伝的・環境的要因による大きな影響を受けると考えられる。今回、5人のドナーの幹細胞が混在する大脳皮質のオルガノイド、キメロイドが作製され、異なる遺伝的背景の影響を同じ条件下で調べられるようになった。 Credit: nopparit/iStock/Getty

オルガノイドとして知られる3次元組織モデルに遺伝的多様性を持たせることは、発生神経科学の分野で解決が切望されている課題である。このほど、ハーバード大学およびブロード研究所(共に米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)のNoelia Antón-BolañosとIrene Faravelliら1が、複数のヒトドナー由来の細胞を混合することで、遺伝的キメラであるオルガノイド、キメロイド(Chimeroid)を作製するアプローチについて、Nature 2024年7月4日号142ページに報告している。

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翻訳:藤山与一

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 10

DOI: 10.1038/ndigest.2024.241042

原文

Chimeric brain organoids capture human genetic diversity
  • Nature (2024-07-04) | DOI: 10.1038/d41586-024-01648-7
  • Aparna Bhaduri
  • カリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)に所属

参考文献

  1. Antón-Bolaños, N. et al. Nature 631, 142–149 (2024).
  2. Cadwell, C. R., Bhaduri, A., Mostajo-Radji, M. A., Keefe, M. G. & Nowakowski, T. J. Neuron 103, 980–1004 (2019).
  3. Geschwind, D. H. & Levitt, P. Curr. Opin. Neurobiol. 17, 103–111 (2007).
  4. Kadoshima, T. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 110, 20284–20289 (2013).
  5. Jourdon, A. et al. Nature Neurosci. 26, 1505–1515 (2023).
  6. Velasco, S. et al. Nature 570, 523–527 (2019).
  7. Wells, M. F. et al. Cell Stem Cell 30, 312–332 (2023).
  8. Chiaradia, I. et al. Cell Stem Cell 30, 1351–1367 (2023).
  9. Popova, G. et al. Cell Stem Cell 28, 2153–2166 (2021).
  10. Xu, R. et al. Stem Cell Rep. 16, 1923–1937 (2021).
  11. Crouch, E. E. et al. Nature Protoc. 19, 603–628 (2024).