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生物学の主力研究ツールに潜む深刻な問題

細菌内部のプラスミドのイメージ図
プラスミドは、染色体とは別個の自己増殖性DNAで、細胞分裂時に娘細胞にも受け継がれる。こうした性質から、遺伝子操作用ベクターとして重用されている。図では、中央のコイル状のものが細菌の染色体DNAで、灰色のリングがプラスミド。 Credit: Keith Chambers/Science Photo Library/Getty

現代生物学における主力研究ツールの1つは、環状DNAプラスミドだ。実験室で作製されたプラスミドは、研究用だけでなく、企業に送られて遺伝子治療に使用できるようにウイルス内にパッケージングされるなどの用途に提供される。ところが、そのプラスミドに深刻な問題があることが示された。このほど、遺伝子送達ツールの開発・受託製造を行うベクタービルダー社(VectorBuilder、米国イリノイ州シカゴ)の研究チームが、実験室で作製された2500以上のプラスミドを解析して系統的に評価した結果、そのほぼ半数に、治療用遺伝子の発現に重要な塩基配列の誤りなど、設計上のエラーが見られることが分かった。この結果は2024年6月、査読に先立ち、プレプリントサーバーbioRxivに投稿された(X. Bai et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/gt2mqs; 2024)。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 10

DOI: 10.1038/ndigest.2024.241010

原文

Serious errors plague DNA tool that’s a workhorse of biology
  • Nature (2024-07-10) | DOI: 10.1038/d41586-024-02280-1
  • Katherine Bourzac