アルツハイマー病脳のin situ画像
アルツハイマー病患者の脳では、アミロイドβペプチドとタウタンパク質がそれぞれフィラメントを形成して沈着し、害を及ぼすと考えられている。アミロイドβフィラメントは脳細胞間の空間に凝集して老人斑を形成し、タウフィラメントは脳細胞内で凝集して神経原線維変化やニューロピルスレッドを形成する。これらの凝集体は光学顕微鏡で観察することができ、1907年に初めて報告されて以来1、アルツハイマー病の重要な特徴とされている。しかし、アミロイドβとタウから生じる個々のフィラメントが、それぞれ老人斑と神経原線維変化・ニューロピルスレッドをどのようにして形成するのかは、これまでよく分かっていなかった。リーズ大学(英国)のMadeleine A. G. Gilbert、Nayab Fatima、Joshua Jenkins、およびThomas J. O’Sullivanら2は、クライオ電子線トモグラフィーを用いて脳組織を精細な3次元画像にし、アミロイドβおよびタウのフィラメントのin situ構造を初めて明らかにし、Nature 2024年7月25日号913ページで報告している。
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翻訳:藤山与一
Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 10
DOI: 10.1038/ndigest.2024.241050
原文
Alzheimer’s plaques and tangles revealed by 3D microscopy- Nature (2024-07-10) | DOI: 10.1038/d41586-024-02119-9
- Sjors H. W. Scheres
- MRC分子生物学研究所(英国ケンブリッジ)に所属
参考文献
- Alzheimer, A. Allg. Z. Psychiatr. 64, 146–148 (1907).
- Gilbert, M. A. G. et al. Nature 631, 913–919 (2024).
- Crowther, R. A. Proc. Natl Acad. Sci. USA 88, 2288–2292 (1991).
- Russo, C. J., Dickerson, J. L. & Naydenova, K. Faraday Discuss. 240, 277–302 (2022).
- Shi, Y. et al. Nature 598, 359–363 (2021).
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