細菌の収縮注入系を改変して細胞内へタンパク質を送る
特定のタンパク質を、特異的な細胞に送り込むことができれば、生命科学の研究や疾患の治療に大きな可能性が開かれる。しかし、目的のタイプの細胞を標的とし、選択したタンパク質が細胞膜を通過してその細胞内に運ばれるようにするという課題のために複合的な問題が生じ、こうしたツールの開発を非常に難しくしている。このほど、ハワード・ヒューズ医学研究所、ブロード研究所、およびマサチューセッツ工科大学(いずれも米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)のJoseph Kreitzら1は、細菌に見られる分子注入装置を利用した、タンパク質送達のためのプログラマブルシステムを開発したことを、Nature 2023年4月13日号357ページで報告した。近年、細菌と細胞との相互作用を仲介する機構についての知見が集まってきているが、こうした情報に基づいてKreitzらは、今回のシステムでは、特定の細胞を標的として、カスタマイズされたタンパク質という「積み荷(ペイロード)」を送達するよう調整できることを示している。この再設計された注入複合体は、さまざまな生物系に応用できる生物工学による素晴らしい送達デバイスになる。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 7
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230741
原文
Mix-and-match tools for protein injection into cells- Nature (2023-04-13) | DOI: 10.1038/d41586-023-00847-y
- Charles F. Ericson & Martin Pilhofer
- 共にチューリヒ工科大学(スイス)に所属
参考文献
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