News & Views

膜タンパク質の組み立てに思いがけない事実

細胞の膜に存在するタンパク質には、膜貫通ドメイン(TMD)として知られる1つあるいは複数のタンパク質領域がある。これらTMDが膜へ挿入される過程は、新しい膜タンパク質が生成される際の重要な段階である。真核細胞(核を持つ細胞)では、この挿入過程は主に小胞体という細胞小器官で行われる。TMDはタンパク質を産生するリボソームから出てくると、小胞体で膜に組み込まれる。何十年もの間、TMDの挿入はSec61タンパク質複合体を中心とする分子装置を介して起こるという考えが受け入れられてきた(同じSec61複合体の装置を使って、タンパク質は小胞体の内部にも輸送される1,2)。しかし今回、MRC分子生物学研究所(英国ケンブリッジ)のLuka SmalinskaitėおよびMin Kyung Kimら3と、シカゴ大学(米国イリノイ州)のArunkumar Sundaram、Melvin YamsekおよびFrank Zhongら4の2つの研究チームはそれぞれ、この現在の認識に疑問を投げ掛ける結果を、Nature 2022年11月3日号161ページ167ページに報告している。

全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。

翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 2

DOI: 10.1038/ndigest.2023.230239

原文

Assembly surprise for membrane proteins
  • Nature (2022-11-03) | DOI: 10.1038/d41586-022-03221-6
  • Ben C. Berks
  • オックスフォード大学(英国)に所属

参考文献

  1. Rapoport, T. A., Li, L. & Park, E. Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 33, 369–390 (2017).
  2. Hegde, R. S. & Keenan, R. J. Nature Rev. Mol. Cell Biol. 23,107–124 (2022).
  3. Smalinskaitė, L., Kim, M. K., Lewis, A. J. O., Keenan, R. J. & Hegde, R. S. Nature 611, 161–166 (2022).
  4. Sundaram, A. et al. Nature 611, 167–172 (2022).
  5. McGilvray, P. T. et al. eLife 9, e56889 (2020).
  6. Chitwood, P. J. & Hegde, R. S. Nature 584, 630–634 (2020).
  7. Chitwood, P. J., Juszkiewicz, S., Guna, A., Shao, S. & Hegde, R. S. Cell 175, 1507–1519 (2018).
  8. van den Berg, B. et al. Nature 427, 36–44 (2004).