News & Views
無害な腸内細菌への攻撃を抑える免疫細胞ができる仕組み
我々の免疫系は、疾患を引き起こす危険な物質や病原体に迅速に応答しなければならないが、我々自身の細胞や、害のないものを無視する必要もある。微生物相と呼ばれる多数の無害な微生物が常在している腸では、このバランスは不安定になる。腸の微生物は免疫系の注意を引いてはいけない。免疫系がこうした微生物を無視できずに標的とすると、炎症を引き起こしたり、炎症性腸疾患が発症したりする可能性がある1からだ。このほど、3つの研究グループが微生物相に対する免疫応答を減弱させるのに必要な重要な過程を明らかにし、Nature 2022年10月27日号で報告した。ワイルコーネル医科大学およびコーネル大学(米国ニューヨーク)のMengze Lyuら2(744ページ)、ニューヨーク大学医学系大学院(米国)のRanit Kedmiら3(737ページ)、スローン・ケタリング記念がんセンター(米国ニューヨーク)のBlossom Akagbosuら4(752ページ)である。
全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。
本サービスでは、サイトご利用時の利便性を向上させるためにCookiesを使用しています。詳しくは、シュプリンガーネイチャー・ジャパン株式会社の「プライバシー規約」をご覧下さい。
翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 1
DOI: 10.1038/ndigest.2023.230142
原文
How regulatory T cells are primed to aid tolerance of gut bacteria- Nature (2022-10-27) | DOI: 10.1038/d41586-022-03368-2
- Mark A. Travis & Chiara Romagnani
- Mark A. Travisはマンチェスター大学(英国)に所属。Chiara Romagnaniはシャリテ・ベルリン医科大学および ドイツリウマチ研究センター(共にドイツ・ベルリン)に所属。
参考文献
- Caruso, R., Lo, B. C. & Núñez, G. Nature Rev. Immunol. 20, 411–426 (2020).
- Lyu, M. et al. Nature 610, 744–751 (2022).
- Kedmi, R. et al. Nature 610, 737–743 (2022).
- Akagbosu, B. et al. Nature 610, 752–760 (2022).
- Sakaguchi, S. et al. Annu. Rev. Immunol. 38, 541–566 (2020).
- Aschenbrenner, K. et al. Nature Immunol. 8, 351–358 (2007).
- Mickael, M. E., Bhaumik, S. & Basu, R. Am. J. Pathol. 190, 1984–1999 (2020).
- Sun, T., Nguyen, A. & Gommerman, J. L. J. Immunol. 204, 1075–1083 (2020).
- Gardner, J. M. et al. Science 321, 843–847 (2008).
- Hepworth, M. R. et al. Nature 498, 113–117 (2013).
- Hepworth, M. R. et al. Science. 348, 1031–1035 (2015).
- Yamano, T. et al. J. Exp. Med. 216, 1027–1037 (2019).
- Wang, J. et al. Sci. Immunol. 6, eabl5053 (2021).
- Russler-Germain, E. V. et al. eLife 10, e54792 (2021).
- Dobeš, J. et al. Nature Immunol. 23, 1098–1108 (2022).
- Fergusson, J. R. et al. Front. Immunol. 9, 2902 (2019).
- Elmentaite, R. et al. Nature 597, 250–255 (2021).