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生態系の経済的価値評価の25年間

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 9 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220937

原文:Nature (2022-06-16) | doi: 10.1038/d41586-022-01480-x | 25 years of valuing ecosystems in decision-making

Gretchen C. Daily & Mary Ruckelshaus

世界の生態系がもたらす経済的な価値は、1997年に初めて見積もられたが、この研究にはさまざまな反響があった。生態系の経済的価値の評価はそれからどのように進んだのだろうか? そうした価値を意志決定に用いる最前線は今、どうなっているだろうか?

小河内貯水池
東京でも、多摩川の上流域や小河内貯水池(奥多摩湖)周辺の森林を水道水源林として保全している。 | 拡大する

gyro/iStock/Getty

四半世紀前、メリーランド大学環境・河口研究センター(米国ソロモンズ)のRobert Costanzaらは、世界の生態系サービス(生態系の公益的機能)の経済的価値、つまり、生態系から人間が得る利益の見積もりを提案した1。Costanzaらは、その利益を年間33兆ドル(約4600兆円)と評価した。この提言には、技術的な問題から、自然に値段を付けることへの倫理的な懸念まで、多くの立場から異議が唱えられた。そして、見積もりの有用性は疑問視され、「本来無限であるものをひどく過小評価してなされることが有効であることはほとんどない」などの批判を招いた2。しかし、Costanzaらの狙いは、単に数字を算出することではなかった。彼らは、人々が自然を考えるやり方を組み立て直したかった。特に、経済的な意志決定における考え方を再構成したいと考えていた。彼らは、論文の中で「私たちは、これらのサービスを生む自然資本を、意志決定プロセスにおいて十分に重視し始めなければならない。さもなければ、人間の幸福や繁栄は徹底的な報いを受けるかもしれない」と述べている。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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