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白色矮星の理論予測を偶然の発見で立証

全天サーベイで記録されるデータ量は増え続けている。それでも天文学での発見は、今でもセレンディピティー(思わぬものを偶然に発見する能力)にひどく依存している。理論は発見のプロセスを導いてくれる(そして時には迷わせる)ものの、宇宙とその中の全ての事物に関しては、素粒子理論の「標準模型」に相当するものはなく、天文学の進歩は予期しないことによって引き起こされることが多い。異常な何かを見つけ、それを注目すべきことだと解釈するには、優れた観察者が必要だ。フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン・ニュルンベルク付属レメイス天文台(ドイツ・バンベルク)のOle Königらは今回、わずか35.8秒間検出されたX線を、爆発する白色矮星が発生源だと正しく解釈することにより、セレンディピティーを成功に結び付けたことをNature 2022年5月12日号248ページで報告し、白色矮星の物理現象の解明に貢献した1

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翻訳:新庄直樹

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 8

DOI: 10.1038/ndigest.2022.220838

原文

Chance discovery sheds light on exploding stars
  • Nature (2022-05-12) | DOI: 10.1038/d41586-022-01255-4
  • Frederick M. Walter
  • Frederick M. Walterはストーニーブルック大学物理・天文学科(米国ニューヨーク州)に所属。筆者は利益相反がないことを表明している。

参考文献

  1. König, O. et al. Nature 605, 248–250 (2022).
  2. McNaught, R. H. CBET 4811 (2020).
  3. Starrfield, S., Truran, J. W., Sparks, W. M., Krautter, J. & MacDonald, J. in Physics of Classical Novae (eds Cassatella, A. & Viotti, R.) 306–310 (Springer, 1990).