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変異時計の進行は種によって異なる

種間のがんリスクは寿命の長さや体のサイズと相関していないという「ピートのパラドックス」を部分的に説明する、2つの研究が発表された。Vinczeら2は、動物園の哺乳類191種(11万148個体)の死亡率を解析し、がん死亡リスクは種にわたって体のサイズにも寿命にも依存していないことを示した。CaganとBaez-Ortegaら1は、哺乳類16種(56個体)の腸陰窩の全ゲノムを解析して変異率(陰窩当たりの年間変異発生数)を調べ、寿命が長い種の方がゆっくり変異することを示した。つまり、寿命末期までに獲得した変異数は種間で変わらず、寿命ががんリスク増大のキーファクターではないと考えられる。

動物界は、寿命が短い小型の動物から寿命が長い大型の動物まで、非常に多様性に富む種で構成されている。これらのさまざまな生命体でがんを発症するリスクはどのように現れるのだろうか? また、その分子的基盤はどのようなものだろうか? こうした問いに対する答えを、ウェルカムトラスト・サンガー研究所(英国ケンブリッジ州ヒンクストン)のAlex CaganとAdrian Baez-Ortegaら1Nature 2022年4月21日号517ページに、現在は生態学研究センター(ハンガリー・デブレツェン)に所属するOrsolya Vinczeら2Nature 2022年1月13日号263ページに示している。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 7

DOI: 10.1038/ndigest.2022.220746

原文

Mutational clocks tick differently across species
  • Nature (2022-04-21) | DOI: 10.1038/d41586-022-00976-w
  • Alexander N. Gorelick & Kamila Naxerova
  • Alexander N. GorelickとKamila Naxerovaは、共にハーバード大学医学系大学院 (米国マサチューセッツ州ボストン)に所属。

参考文献

  1. Cagan, A. et al. Nature 604, 517–524 (2022).
  2. Vincze, O. et al. Nature 601, 263–267 (2022).
  3. Peto, R. https://wellcomecollection.org/works/p3pm7b2e (1977).
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