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量子論に虚数は不可欠か?

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2022.220340

原文:Nature (2021-12-23) | doi: 10.1038/d41586-021-03678-x | Alternatives to standard quantum theory ruled out

William K. Wootters

標準的な量子論は、負の数の平方根を含む。しかし、こうした虚数は理論に不可欠なのだろうか? 虚数を含まない、量子論と類似した理論が誤りであることを証明する方法が提案され、実数のみの類似理論が誤りであることが実験で確認された。

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ROBERT BROOK/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Science Photo Library/Getty

負の数の平方根は、実生活にほとんど関係がない奇妙な数学的構成物とみなされているかもしれない。フランスの大学者ルネ・デカルトは、「実数(real number)」という言葉を通常の数直線上に現れる数に与え、負の数の平方根には軽蔑的な「虚数(imaginary number)」という名前を与えた。しかし、1世紀近く前に量子論が誕生して以来、複素数(純虚数と実数を結合したもの)は、物理世界の構造に深く埋め込まれているらしいと考えられてきた。実際、マイナス1の平方根を表す虚数単位は、量子論の基礎方程式にはっきりと現れる。バルセロナ科学技術研究所(BIST;スペイン・カステイダフェルス)のMarc-Olivier Renouらは、実数のみを含む理論の1グループの誤りを証明することにより、量子世界を記述するためには複素数が不可欠だという根拠を強める実験をNature 2021年12月23/30日号625ページで提案した1。そして、彼らが提案する実験の2つのバージョンが実施された2,3

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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