RSウイルスに感染して人工呼吸を受けている乳児。乳児は症状が重くなることが多い。 Credit: RIJAN MURAT/DPA/ALAMY
2020年2月、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)の世界的な大流行が始まった直後、テキサス大学オースティン校(米国)の構造生物学者Jason McLellanの研究チームは、このウイルスがヒトの細胞に侵入する際に使用するスパイクタンパク質の構造を発表した1。その構造を基に、すぐにワクチンの開発が始められた(2021年10月号「新型コロナウイルスが細胞に侵入する仕組み」、2021年11月号「mRNAワクチン完成までの長く曲がりくねった道」参照)。だが、McLellanがウイルスタンパク質の構造を解明してワクチンの開発に拍車を掛けたのは、それが初めてではなかった。2013年には、呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス;RSV)と呼ばれる別の致死性ウイルスのタンパク質の構造を解析していた2。
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翻訳:藤山与一
Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 3
DOI: 10.1038/ndigest.2022.220324